2021.06.14 COLUMN
大学発ベンチャーとは、大学の教員、研究者、学生が開発した技術を事業化した企業のことを指す場合が多く、経済産業省は大学発ベンチャーを①研究成果ベンチャー、②共同研究ベンチャー、③技術移転ベンチャー、④学生ベンチャー、⑤関連ベンチャーのいずれかに該当する企業と定義しています。
出典: 令和元年度大学発ベンチャー 実態等調査結果概要- 経済産業省
2014年以来大学発ベンチャーの企業数は毎年増加傾向にあり、特に近年は高い伸び率で推移しています。このように日本で盛り上がりつつある大学発ベンチャーですが、成功するとユニコーンベンチャーになる高い可能性を秘めている一方、経営陣のビジネス面での経験不足や、技術の産業化まで膨大な資金と時間がかかることから、成功まで到達することが非常に難しい分野です。
Angel Bridgeはいくつもの大学発ベンチャーにアーリーステージで投資をし、ハンズオンで支援を行ってきました。今回はこのような大学発ベンチャーと伴走してきた経験から導ける、技術力のある大学発ベンチャーの成功パターンについて解説していきます。
大学発ベンチャー支援事例
大学発ベンチャーとは、大学の教員、研究者、学生が開発した技術を事業化した企業のことを指す場合が多く、経済産業省は大学発ベンチャーを①研究成果ベンチャー、②共同研究ベンチャー、③技術移転ベンチャー、④学生ベンチャー、⑤関連ベンチャーのいずれかに該当する企業と定義しています。
出典: 令和元年度大学発ベンチャー 実態等調査結果概要- 経済産業省2014年以来大学発ベンチャーの企業数は毎年増加傾向にあり、特に近年は高い伸び率で推移しています。このように日本で盛り上がりつつある大学発ベンチャーですが、成功するとユニコーンベンチャーになる高い可能性を秘めている一方、経営陣のビジネス面での経験不足や、技術の産業化まで膨大な資金と時間がかかることから、成功まで到達することが非常に難しい分野です。
Angel Bridgeはいくつもの大学発ベンチャーにアーリーステージで投資をし、ハンズオンで支援を行ってきました。今回はこのような大学発ベンチャーと伴走してきた経験から導ける、技術力のある大学発ベンチャーの成功パターンについて解説していきます。
技術系/大学発ベンチャーはAngel Bridgeの重点領域であり、全投資先16社のうち技術系ベンチャーに6社(うち大学発ベンチャーに3社)投資を行っています。経験・知見の蓄積により強力なサポートが可能です。
いずれの技術系ベンチャーにも創業初期やシード期から投資をしており、最も困難な立ち上げフェーズをサポートしています。
- Heartseed株式会社
- 慶應義塾大学医学部発。iPS細胞を用いた心筋再生医療による、重症心不全の根本的治療法の技術開発を行う。
- バイオス株式会社
- 慈恵医科大学発。腎臓再生医療の研究開発を行う。
- テオリアサイエンス株式会社
- 東京医科大学発。エクソソームを用いた早期がん診断サービスの提供およびがん治療研究開発を行う。
- 福島SiC応用技研株式会社
- SiC半導体による超小型中性子発生源を用いたがん治療装置開発を行う。
- Varinos株式会社
- 次世代シーケンサーを活用した最先端の遺伝子検査の開発・提供を行う。
※GeneTechはイクジット済みのため省略
大学発ベンチャー成功のための4つのエッセンス
ここでは今まで大学発ベンチャーの支援を行ってきた経験から考える、大学発ベンチャー成功のための4つのエッセンスについてご紹介します。
一般的に大学発ベンチャーの成功は難易度が高いと考えられていますが、創業期から下記の重要な点を意識して丁寧に作りこんでいくことで飛躍的に成功確率が上がると考えています。
- ①サイエンスの深み
- まず一番大事なのは、技術力がグローバルでトップクラスであることです。
技術系ベンチャーで散見されるのはアカデミアでの十分な実績がなく起業するパターンで、コアとなっているテクノロジーの深みが足りなかったり、単一技術だけの場合は競合優位性を保つことができず、後発企業に追い越されてしまうこともあります。
そのため、成功パターンとしてはアカデミアの論文ベースでトップジャーナルに掲載されていることは大前提ですし、1つのコア技術に加えていくつかの周辺技術含め保有していることが重要になってきます。また、技術の厚みを増すためにも研究開発者である教授を巻き込むことがとても重要です。 - ②バランスの取れたチーム体制
- 大学発バイオベンチャーの例を挙げると、創業期は経営陣が教授のみでビジネス人材が足りなかったり、在籍している産学連携本部の大手製薬企業出身者などは臨床開発の知見はあっても、ベンチャーや企業経営への知見が足りないといったことが良くあります。
そのため、早いタイミングでサイエンス(研究者)・臨床開発(製薬会社出身者)・ビジネス(コンサル・投資銀行出身者など)の3タイプの人を巻き込むことが重要です。そのためには創業社長が人間としてバランスが良く、良人材を吸引する巻き込み力があることも必要になってきます。 - ③研究者のリーダーシップ/コミットメント
- 大学発ベンチャーの良くあるパターンとして、大学教授が複数持っているシーズ技術の1つを切り出して、外部から社長を呼んできてベンチャーを作るという事例があります。しかしこういった場合は教授のコミットメントが明らかに低く、失敗することが多いです。そのため、社長だけでなく創業者である教授などアカデミアの技術力を持つ人自身が本技術の社会実装に向けてしっかりコミットすることが重要です。
- ④資金調達力
- 最後にファイナンス面についてです。
あまり理解せずにステージに見合わない高額なバリュエーションで調達してしまうというケースがありますが、その後の資金が得られず事業が継続できなかったり、次のラウンドで結局ダウンバリュエーションをしないといけないというリスクがあります。そのため、各ステージに合った適切なバリュエーションでの資金調達をすることが重要です。
また技術開発のため多額の資金が必要なわけですが、一度で大きな額を集めようとすると株式の希薄化が進んでしまいますし、そもそもとして大きな金額を集められないのでファイナンスラウンドを細かく分けて資金調達することが望ましいです。例えばHeartseedは設立当初のシード・アーリーステージにおいては1~1.5年おきに調達していますし、徐々に体力がついてきたら1.5~2年ごとに調達するくらいのペースが良いでしょう。
また、政策・薬事承認・社会的な注目などマクロの追い風があることでさらに資金が集まりやすい場合もあるので、その点もしっかり見ておく必要があると思います。
大学発ベンチャーの成功に対するVCの提供価値
ここまでで大学発ベンチャーの成功の秘訣を語ってきましたが、実際にこれらの四つのエッセンス全てが創業時から揃っていることはほぼないでしょう。そのため、VCがハンズオンで支援し大学発ベンチャーを成功パターンにいち早く持っていくことが必要であると考えています。
①サイエンスの深み、③研究者のリーダーシップ/コミットメントについてはVCが支援することはなかなか難しい部分もありますが、②バランスの取れたチーム体制と④資金調達力はVCが十分価値を出せる部分だと思います。
実際にAngel Bridgeでも投資先の大学発ベンチャーに対しハンズオン支援を行っていますが、特に②バランスの取れたチーム体制と④資金調達力を中心として、経営陣の要望を聞きながら多岐にわたる支援を行っています。
そこで今回は例として、②バランスの取れたチーム体制と④資金調達力についてVCがどういった支援をできるか簡単にご紹介します。
- ②バランスの取れたチーム体制
- 前述のように、大学発ベンチャーがスケールしていくためには組織における重要ポジションを採用していくことが必要です。そこでAngel Bridgeでは組織における重要ポジションを独自のネットワークを活用して幅広くご紹介しています。事業ステージに応じて投資先の経営陣と必要な人材像についてディスカッションをした後、候補人材のソーシング、初回スクリーニングとしての面接まで行っています。
以下は過去にAngel Bridgeが投資先に紹介したメンバーの一例です。錚々たるメンバーをご紹介できていると思います。
- ④資金調達力
- 大学発ベンチャーは上場までに多額の資金調達が必要になるため、投資実行以降の資金調達ラウンドも強力に支援し、他VCと事業会社から大型の資金調達を実施しています。
例えばiPS細胞を使った心筋再生医療の開発を行うHeartseedは合計82億円、次世代ガン治療装置の開発を行う福島SiCは合計41億円の資金調達を行っており、これらの資金調達を支援しました。
そこで、ここでは資金調達支援のポイントをいくつかご紹介します。 -
- 1. 正確に事業の魅力を伝える
- まずは言わずもがなですが、どのような事業をやっているかを投資家に分かりやすく正確に伝え、そのうえでアップサイドも含めて魅力的なエクイティストーリーを具体的に描いていくことが必要です。
- 2. 最適なバリュエーションを設定する
- バリュエーションは他類似案件をしっかり調べることで最適値に設定していきます。Heartseedの場合は以下のような業界各社のミドル/レーターステージファイナンスを比較してバリュエーションを設定しました。
また、想定されるExit時のバリュエーションから時間軸を考慮して逆算し、投資家から見たときに必要とされるリスクに見合ったリターンが出せそうか、バリエーションをダブルチェックすることも忘れてはなりません。 - 3. ラウンドに適した投資先から資金調達をする
- 多額の資金が必要になるため、追加増資をしてくれるようなディープポケットの投資家を巻き込むことが必要です。そのためにも、投資家の過去のファイナンス事例を徹底的に調べ上げ、順番にリードになりそうな人から声をかけていきます。この際にどのルートでアクセスするかも重要です。
また、大学発ベンチャーに関わらずですが創業初期は企業としての信頼性に欠ける部分があるので、事業シナジーを訴求することで知名度のある大企業を巻き込み、信頼性を高めて次のラウンドにつなげることもポイントです。
例えばHeartseedではシリーズAでAngel Bridgeが4.5億円増資したのに加え、アステラス製薬のCVCや、メディパル、伊藤忠などの大企業を巻き込んでいます。また、シリーズBで投資頂いたディープポケットのSBI・ニッセイキャピタル・SMBCは、シリーズCでも追加出資を決断し会社を支えてくれました。
おわりに
日本のアカデミアには世界に通用する優秀な研究者がたくさんいます。研究者の絶え間ない努力によって生み出された最先端技術をここで述べたようなプロセスで正しく社会実装していくことで、グローバルに勝負できる事業体を作っていくことが可能です。
しかしこういった技術を社会実装するのにはかなりの時間と資金を必要としますし、大学教授が経営者として取り組んでいくには困難な面も沢山あります。
そこでAngel Bridgeはそういった最先端技術に積極的に投資をし、大学発ベンチャー支援における豊富な経験と深い知見を基に伴走することで、世の中を大きく変えるイノベーションを起こしていきたいと考えています。
事業の壁打ちや資金調達のご相談など、お気軽にご連絡ください!
2021.06.09 INTERVIEW
部屋探しをワクワクする体験にしたい
カナリーはどのような事業を行っているのですか?
佐々木:不動産領域のDXに取り組んでいます。具体的には賃貸及び売買物件を掲載しているCANARY(カナリー)という部屋探しアプリを運営しながら、不動産仲介会社向けにSaaSのプロダクトも提供しています。
部屋探しをワクワクする体験にしたいという想いから、UXをとにかく追及するようにしています。またそのために不動産業務のDXにも進出し、最終的にユーザーの体験を良くしたいと考えています。
お部屋探しといえばSUUMO(スーモ)のようなサービスが強いですが、CANARYは何が違うのでしょうか?
佐々木:他の部屋探しプラットフォームでは仲介会社が広告として物件情報を載せているのですが、その過程でデータベースを手動で更新しているために情報が古かったり間違っていたりすることが多いんです。また、プラットフォームとしてもSEO強化のためにとにかく物件情報を増やすインセンティブがあり、おとり物件や重複物件などはなかなか削除されず、そのまま掲載されてしまっています。
カナリーは自社でデータベースの管理をしているので、鮮度の高い情報を参照することで最新の情報を掲載できているのが大きな違いになります。
佐々木さんはカナリーを起業するまでどのようなキャリアを歩んでいたのですか?
佐々木:東大の経済学部を卒業した後、ファイナンスに興味があったのでメリルリンチの投資銀行部門で国内外のM&Aや資金調達に2年ほど従事していました。その後ボストンコンサルティンググループに転職した後、起業しました。
なぜ起業しようと思ったのですか?
佐々木:大学の時からいずれ起業したいなと思っていましたし、ボストンコンサルティンググループで働いていた時にやっぱり何か大きいことを早く成し遂げたいと思い、そろそろ起業してもいいかなと思って大学のクラスが同じだったCTOの穐元と共同創業しました。
そろそろ起業しても良いと思ったきっかけは何だったのですか?
佐々木:投資銀行とコンサルは業務の共通する部分もあり、ラーニングカーブがゆるやかになっていく中で、反比例して起業したい熱が高まっていたことが大きいかもしれません。また、まだまだ成長途中ではあったものの、起業してからの方が学ぶことも多いだろうと思い、起業を決めました。
なぜ不動産領域で起業しようと思ったのですか?
佐々木:最初から不動産領域で起業しようと思っていたわけではなく、いろんな事業を見てから決めようと思っていたのですが、調べていくうちに最初に見た不動産が一番面白そうだなと思ったんです。
私も引っ越しを何回か経験したなかで一人のユーザーとして不動産業界はペインが大きそうだなと思っていたので最初に業界を見始めたのですが、どんなマーケットか調べてみると市場規模はすごく大きいですし、なんとなく競合が強く競争が激しく感じますが、仲介会社のヒアリングをするうちに改善余地がたくさんあることが分かりました。競合は広告掲載モデルなので自社でデータを持つことはできず、カナリーが考えているようなビジネスモデルを取ることはできません。さらに今ユーザーのチャネルがwebからアプリに推移していることや、電子契約の解禁などといった法改正も後押しして仲介業務のアナログなオペレーションがデジタル化するという大きな変化が起き始めていたので、これはチャンスなのではと思い不動産業界に決めました。
巨大な競合に立ち向かう
事業を押し進めていく中で逆境はありましたか?
佐々木:営業組織を30人規模まで急速に拡大したときに、パフォーマンスのばらつきやモチベーション低下などの問題が起こりました。その際の営業側の組織改革にはかなり八尾さん(Angel Bridgeアソシエイト)に入ってもらいましたね。営業人員一人一人にヒアリングして何が課題かを見つけるというのは自分でやろうとするとどうしても手間がかかりますし、外部からどう見えるかは大事な視点なので、非常に助かりました。
その後のプロジェクトも一緒に進めていただき、営業の組織体制・昇進制度の改革やマインド作りを手伝ってもらうことでこの課題を解決できました。
カナリーがここまで到達できた秘訣は一言で何だと思いますか?
佐々木:振り返ってみると特別なことをやったというよりは、目の前のやるべきことを淡々とやってきたような気がします。振り返ると上手くいっていたというような感じですね。中長期的な目標は持ちつつも、目先のことをしっかりやる。初めて経験することばかりでしたが、ここについては順応性の高い性格がうまく寄与した気がします。
河西:私はカナリーがSaaSを始めた当初、プラットフォーマーとして賃貸仲介をまずものにしてからでないと、SaaSに手を出すべきではないと思っていました。でも話を聞くうちに、あえて早めにSaaSをやることで既存事業にもつながる部分があるということが分かり始め、佐々木さんはすごく全体が見えているなと思ったんです。
具体的に言うと、賃貸会社向けのSaaSはニーズがあるのでCANARYからの送客も含めて売り込んだら確実にはまるでしょうし、また管理会社のSaaSはCANARYが独自物件を手に入れるためにも必要で、それはまさにこの事業の本質であるCANARYのデータベースを強化することにも繋がります。ここがすごく考えられていて素晴らしいなと思ったんです。
でもこれは創業時に見えていたはずはなくて、事業をやりながら気づいたのだと思うのですが、どういったプロセスでここに行きついたのですか?
佐々木:視野としては、幅広く業界全体を見ることを意識していました。そして中長期的なあるべき姿を考えていくと、いろんな事業が絡み合って出る付加価値が非常にあるなと思ったんです。またデジタル化という文脈でも、今まで情報が分断されていたものを繋げて境界を無くすことで、競争力になります。
具体的に掘り下げていくと、仲介側へのSaaSは普及するでしょうし、そこに自分たちが進出したらどんな連携ができそうか、また管理側にも進出した時にどんな連携ができそうか、そういった思考実験をしていくとさらに繋がりが見えてきて、リソース的にはきついけれどもどういったタイムラインで進めるのがベストかを考えると、欲張りに早く進めていった方がいいなと思ったんです。
河西:佐々木さんはロジカルに積み上げていくだけでなく、動物的な勘もありますよね。
佐々木:日々の出来事からも発展させて、色々な可能性を考えるようにしています。また事業が順調であっても、危機感を持っていろんなシナリオを想定していますね。
そのせいか筋トレ中もあまり集中できず、ずっと仕事のことを考えているような節もあります(笑)。
なぜAngel Bridgeから投資を受けようと思ったのですか?
佐々木:当初はメンバーのプロファイル的にいかついな、ゴリゴリだなと構えていました(笑)。最初にお話しした数日後にはもう業界に関するディープな質問をいただいて、議論もどんどん進んでいくのでかなりスピード感があるなという印象でした。
我々は会社としてスピード感をすごく大事にしているのですが、その後の意思決定もとても速くポジティブでした。議論の内容も非常に建設的で、様々なテーマにおけるベストプラクティスを知っていることも魅力に感じました。
ディナーもすごく盛り上がりましたね(笑)。会う前の印象よりも人間味がある方々で、投資先に対する支援の姿勢なども心強いなと思い、Angel Bridgeから出資を受けることを決めました。
なぜカナリーに投資しようと思ったのですか?
河西:不動産業界にはSUUMOのような巨大なプラットフォーマーが存在していますが、広告掲載モデルの構造上、おとり物件や重複物件が多いというペインが生まれていました。これに対し、佐々木さんのようにやる気や基礎能力があり、決して叩いても倒れないようなメンツで立ち向かっていくというのが非常に面白いと思いましたね。巨大な競合に対しても、自社のデータベースを綺麗にして提供する、という広告掲載モデルと違う立ち位置でやれば、構造上ある一定のシェアが取れると思いました。
競合に完全に勝てるとは言い切れませんが、おとり物件がないほうがユーザーにとって絶対いいですし、自社でデータベースを持つことでサイトに自社で撮影した綺麗な写真を載せていくといったことは、競合はイノベーションのジレンマで絶対真似できません。こういったことを地道にやっていけば必ずや構造的に競合ができない差が生まれますし、確信を持って成功するなと思いました。
実際に売上は何倍にも成長して結果が出ているので、シリーズBもリードで出資しようと思いましたね。
新しいことを恐れない
河西さんから見て佐々木さんはどんな起業家だと思いますか?
河西:まず佐々木さんは、冷静に周りの人の声を聞いて柔軟に学習を進めることがうまいですよね。投資家に詰められても間をおいてしっかり考えて意思決定ができ、さらにそのジャッジが正しいという、社長として重要な点を抑えられているのが印象的でした。
また佐々木さんのしぶとさや生存力はデューデリジェンスの中でも見えていましたし、ある種の戦友として一緒に戦えると思いましたね。
後輩起業家に伝えたい、起業するにあたって気を付けるべきポイントはありますか?
佐々木:起業すると新しいことに毎日沢山直面します。例えば、私は営業の組織作りやプロダクト開発などの知識はありませんでしたし、やりながら学んでいったことが多いです。起業する時点でいかに物事を知っているかよりも、新しいことが起こったときにしっかり順応できるかどうかが大事だと思いました。
カナリーの事業を通して何を社会に届けたいですか?
佐々木:まずは不動産業界全体を変えるぐらいのインパクトを出したいですね。最近はto Bの業務にも深く入って動きだしていますし、不動産業界に関わる人すべての働き方を変えて、その先の結果としてユーザーのお部屋探し体験もワクワクするものに変わるような、そういった変化に主体的に関わっていきたいです。
また、もちろんベンチャー起業家として誇れるような巨大なIPOを目指したいと思っています。カナリーが会社として大きくなることが不動産業界全体のペインを解消することに繋がると思いますし、まずは目の前の事業から真面目に取り組んでいきたいです。
Angel Bridgeを代表する案件になれるよう頑張ります!