2023.03.23 ACADEMY

前回のスタートアップアカデミー#4では、起業家が押さえておくべきIPOに向けた準備についてご紹介しました。スタートアップアカデミー#4

今回は、VCから投資を受けた後に、実際にIPOまでどのような支援をVCから受けるのかをAngel Bridgeの事例に基づいて解説します。

一般的にVCから出資を受けると、そのVCから様々な支援を受けることができます。支援の内容や密度はVCのスタンスにより様々な特色があります。自社によって必要な支援をしてもらえるかどうかという観点で、投資を受ける前に確認しておくと良いでしょう。

Angel Bridgeは投資先企業のハンズオン支援に強い思いを持って積極的に取り組んでいます。
我々のValuesの1つを紹介させてください。

“投資家は起業家のサポーター
起業家は自身の渾身のプロジェクトを主役として進め、投資家はサポーターとしてこれを全力で支援する。投資家は自分自身が経営を出来るとは思ってはならないし、またそうするべきでもない。投資家は起業家を信頼し尊敬する。投資家は数多くのプロジェクトに取り組めることで自身の生み出せる価値を極大化出来ることをその誇りとする。”

VCはあくまでも起業家のサポーターであり、実際に事業を作っているのは経営陣です。そこでAngel Bridgeはアドバイスを押し付けるのではなく支援するという姿勢が正しいと考えています。プロテニスプレイヤーとコーチの関係とイメージすると分かりやすいでしょう。
そしてベンチャー企業が求めている支援は、ステージによって大きく異なります。それゆえ画一的な支援メニューを漫然と押し付けるのではなく、起業家のニーズをしっかり聞いた上でオーダーメイドでハンズオン支援を行っていくことが重要です。例えば、シードではビジネスモデルに対するアドバイスや最初の顧客の紹介、アーリーでは採用支援、シリーズAでは営業やマーケティング、顧客紹介などそれぞれを行います。

次にハンズオン支援の全体像を説明します。Angel Bridgeでは投資先支援メニューを、「組織(ヒト)」「事業(モノ)」「ファイナンス(カネ)」「経営のPDCAサイクル」の4つに分類しています。それぞれについて簡単に説明していきます。

スタートアップアカデミー#5-1

「組織(ヒト)」に関する支援では、経営人材の紹介や評価報酬体系の設計などを行います。特にアーリーステージのベンチャーでは売上規模が小さく組織も少人数のケースが多いため、メンバー一人一人の貢献度が高く、経営陣を含む組織の強化が非常に重要です。その一方で知名度が低い、高い給料が出せない、ネットワークが不足していることなど、優秀な人材を採用することのハードルが高いことも多いです。この部分をVCがしっかりサポートすることは大きなインパクトがあります。

「事業(モノ)」に関する支援では、企業の戦略策定に向けた壁打ちや顧客先の紹介などを行っています。戦略策定では月次定例会を共に行い、事業戦略やIPOや資金調達など様々な経験を生かしたアドバイスをします。顧客先の紹介では、製品・サービスの営業先など、今後の事業拡大に向けて付き合っておきたい企業を紹介します。ベンチャー企業はまだ信頼が不足しており、ネットワークも脆弱で自社でリーチできない部分が多いため、VCが補っていくことが必要でしょう。

「ファイナンス(カネ)」に関する支援では、資本政策の策定や追加の資金調達支援、IPO支援などを行います。資本政策は後から修正が困難であり、資金調達は事業継続・拡大のために極めて重要です。今後の資金調達を「いつ」「誰から」「どのような規模」で行うかについて一緒に考え、実行に向けて、投資家の紹介なども共に行います。IPO準備では、証券会社の紹介やエクイティストーリーの考案などをサポートします。ベンチャー企業は基本的にIPOを一度しか経験しませんが、VCは何度もIPOのサポート経験があるため、ノウハウを共有することができます。

「経営のPDCAサイクル」に関する支援はヒト・モノ・カネをどう回すかといった経営のOS(オペレーティングシステム)のようなものです。取締役会を起点に株主も巻き込んだ年12回の大きなPDCAサイクルを回す体制の構築を支援します。会社の羅針盤となるKPIの設計や見える化と組織としての運営体制を経営陣と共に作り上げていきます。これらは組織が大きくなった時に必要な会社運営の仕組みになります。

ステージごとに取り組みを整理すると、以下のようになります。
シードステージは事業の方向性を議論し、それを元に資金調達の支援を行います。アーリーステージでは集めた資金を使ってCXO人材採用支援を行い、事業を着々と進める体制を整えます。プレIPOステージになると、監査法人や証券会社の選定などのIPO準備を支援します。これらと同時に月一の定例会を行い、経営の見える化を行います。この定例会は取締役会へと発展していきPDCAサイクルが回る体制が自然と出来上がっていきます。

スタートアップアカデミー#5-1

では、それぞれの支援についての詳細を見ていきますが、今回は「組織」に焦点を当てて説明します。

1.「組織」に関する支援について

先ほど、「組織」に関する支援は、経営人材の紹介や評価報酬体系の設計などを行うと述べました。実際にどのような取り組みを行っているのか詳しく説明します。

経営人材の紹介は、どのような人材が足りていないかというところから一緒に考えていきます。定例会で事業計画を構築していくなかで定まっていくことも多いです。
この経営人材の紹介方法は2種類あります。1つ目は知人友人など独自ネットワークの紹介で、転職マーケットに出ていない優秀な人材の獲得が可能になります。Angel Bridgeにはプロファーム出身者が多いため、そのネットワークを生かした人材紹介を行っています。
2つ目は、人材紹介エージェント経由の紹介です。多くのVCは人材エージェントと提携し、情報共有を行っています。Angel Bridgeは長く人材紹介を行う中でネットワークを培ってきており、領域やポジションによって適切な人材紹介会社を選択することができます。さらに投資先企業の魅力を候補者に伝え、応募したいと思ってもらえるよう取り組んでいます。

次に評価報酬体系の設計です。ベンチャー企業での評価報酬体系は採用力にも直結する重要な部分なのでとても重要です。しかし多くのベンチャー企業は初めて評価報酬体系を作るため、作成経験があるVCのサポートがあるとより良いプラクティスをベンチャー企業に提示できるでしょう。またチームメンバーにとって大きな魅力となるストックオプションの設計も同様にサポートします。

数人規模のベンチャーに1人優秀なCXOが入ると企業は大きく変わり、企業価値・事業の成長スピードはとても伸びます。人材紹介は、最もインパクトがある支援の1つです。

2.「組織」支援についてのAngel Bridge実施事例

経営人材の紹介の取り組みとして、「Heartseed」という企業にCOOを紹介した事例を説明します。「Heartseed」は慶応義塾大学発のバイオベンチャーで、iPS細胞による心筋再生医療の実用化を目指しています。

スタートアップアカデミー#5-1

事業拡大に向けてビジネスサイドの優秀な人材が必要だという話になり、COO探しが始まりました。サイエンスも分かり、事業を回す経験もしているという軸で探し、候補として安井さんを紹介しました。CEOの福田さんが直接安井さんに熱意や想いを伝える機会も設定し、Heartseedの魅力を伝えました。

安井さんはAngel Bridge河西の大学時代の友人で、新卒はBain&Company、その後、外資製薬会社で事業開発などを行い、最年少で事業部長になった方です。

Heartseedに入った経緯として以下のように安井さんは話していました。

“安井:以前から、Angel Bridgeの河西さんよりVCや日本発のバイオベンチャー育成の話を聞いていてやりたい事として考えていました。ある出来事をきっかけに、やりたいことは今やらないといけないと思ったんです。そんな時にHeartseedの話を聞き、自分が一番やりたかった革新的な治療法を開発していて、製薬企業の主要な部門の経験を持つ自分が役に立てそうだと感じました。その後CEOの福田と会って丁寧な説明と想いを聞き、これは凄いなと驚きました。そしてこれは何としても世に出したい、と思いました。
(参考記事:660億円ディールの裏側 Heartseed COO安井 × Angel Bridge河西)

スタートアップアカデミー#5-1

安井さんは自分でドライバーズシートに座ってハンドルを握って仕事がしたい、そのような思いが強くなり最終的に転職に至ったようです。しかし、その背景には日頃からAngel Bridge代表の河西が安井さんとバイオベンチャーや今後のキャリアについて話をしていたり、また可能性のあるビジネスに対してきちんと魅力的だと安井さんに思ってもらえるようにCEOのサポートも行っていました。

COO就任後は、ライセンスアウトの締結に向けて尽力し、ノボノルディスクファーマという世界トップクラスの製薬企業と、Heartseed の主要開発品であるHS-001の開発・製造・販売に関する全世界での独占的技術提携・ライセンス契約を締結しました。

HeartseedのCEO福田さんは、安井さんが入ってくれたことによって経営のPDCAサイクルが回り、事業の成長スピードが上がったと述べていました。他にも、Angel BridgeはHeartseedに対してCFO、管理部長、監査役、開発部長などを紹介して採用に至っています。

今回はHeartseedの事例を一例に取り上げました。このようにAngel Bridgeは普段から経営人材と交流を行ったり、20人ほどのヘッドハンターと頻繁に情報を交換するなどして、必要な時にニーズに応じた人材を紹介できるような体制を整えています。

以下にAngel Bridgeが行った紹介の一例を記載します。

スタートアップアカデミー#5-1

今回は特に「組織」に焦点をあてて、VCがどのようにサポートするか説明してきました。自分の会社にはどんなサポートが必要か考えると、自分に合ったVCに出会えるのではないかと思います。そのために、まずはそれぞれのVCを知ることが大切です。最近ではSNSやブログ記事、イベントなどで積極的に情報発信しているVCも多いので、簡単にチェックすることができます。投資先の企業から評判を聞いたり、知人のツテを使うなど情報収集を行いましょう。アプローチ方法としてはツイッターアカウントへのDM・オフィスアワーへの申し込み・HPへの問い合わせ・人づての紹介・イベントへの参加など様々考えられます。後悔のない資金調達ができるよう、最大限活用していきましょう。

2023.03.09 INTERVIEW

国際派技術者が建設テックに参入した理由

ローカスブルーの事業内容をご紹介ください。

宮谷:ローカスブルーは2019年設立のスタートアップです。レーザー測量などで習得した3D点群データをブラウザでクラウド上にアップロードするだけで、地面や建物、樹木、その他の構造物をAIが自動分類。必要な情報のみを取り出し、現場の状況分析などに利用できる「ScanX」をSaaS形式で提供しています。

国際派技術者が建設テックに参入した理由

「ScanX」はどのようなユーザーが利用するサービスなのですか?

宮谷:2020年9月のリリース以来、全国43都道府県の建設会社、土木会社、測量会社などで広くご利用いただいています。国交省が中心となって建設現場のICT化を推進する「i-Construction」の広がりや月額3万円から利用できる敷居の低さ、誰でも簡単に利用できるUIのシンプルさなどを評価いただき、2021年度の「i-Construction大賞」国土交通大臣を受賞できました。

起業のきっかけは?

宮谷:起業を志したのは、イスラエルのスタートアップ時代のことです。イスラエルは18歳になると兵役が課される国。最新のITを活用した軍事技術開発に携わる若者も多く存在します。習得した軍事技術を民間転用したスタートアップを立ち上げる人も多く、同世代の同僚にはすでに2社、3社の起業を経験した人がいるほどでした。私はそれまでフランスのエアバスやシリコンバレーのドローンベンチャーで働いた経験はありましたが、起業経験はありません。やるなら29歳のいまだと思い2019年9月に帰国し翌月起業しました。

なぜ建設業界に参入しようと思われたのですか?

宮谷:当時決めていたのは、前職時代に学んだ3DデータをAI解析する技術を応用したサービスを立ち上げることだけで、最初から建設業界を狙って起業したわけではありません。帰国から半年ほどは、自動運転や製造や損害保険など、可能性のありそうな業界を回ってヒアリングを重ねた結果、建設業界を選びました。計画、調査、設計段階で3Dモデルを活用するi-Constructionへの対応は時代の趨勢です。少子高齢化が著しい建設業界のペインを解消することは社会的意義もあり大きなビジネスも見込めます。そんな理由で建設業界に参入しました。

建設業界経験がないなか、参入障壁を感じたことは?

宮谷:もちろんあります。いまでこそ建設業界に参入するスタートアップは珍しくありませんが、当時はほとんど例がありませんでしたから。「リスクがあるから止めるべき」と、助言をいただいたこともありましたが、見方を変えれば、競合が少ないブルーオーシャンであるとも言えます。3D点群データを処理する既存のソリューションは多機能である一方、利用するためには高額なソフトやハードを買わなければならず、導入できる企業は限られています。しかも操作性は非常に複雑です。一方、私たちには高度なAIエンジンと3D解析技術があり、SaaSを通じて安価に、かつ機能を絞り込みシンプルなUIで提供すれば必ず勝機は巡ってくると信じていました。

参入後の反応は?

宮谷:2020年に製品をリリースした直後こそお客様は10社だけでしたが、その後、クチコミで利用者がどんどん増え、この2年の間に1万現場でご利用いただくまでになりました。

現在の社内体制を聞かせてください。

宮谷:業務委託を含めてメンバーは約30名のメンバーが在籍しています。当初はエンジニアがほとんどでしたが、いまはセールスやマーケティングの数も増え、エンジニアリング側とビジネス側の比率は2:1程度ですね。日本人以外にもフィリピンやインドネシア、ドイツ出身のメンバーが働いており、社内公用語は英語と日本語のバイリンガルで、多国籍なチーム構成になっています。

国際色豊かなメンバーが、歴史ある建設業界のニーズに応えるのは大変なのでは?

宮谷:確かに簡単ではありません。専門的な機能開発にあたっては国交省が出す1,000ページを超えるマニュアルを読み込む必要があったり、建設業界の商慣習や業務知識を身に付けたりする必要がありますからね。ただ、言葉や文化、制度などに依存しないAIエンジンや3D解析技術の開発を担当するメンバーと、日本市場に適応するための開発を担当するメンバーを分ければそれほど大きな問題にはなりません。実際、開発効率を維持できています。

戦略ファーム品質の分析支援に感動

Angel Bridgeとの出会いについて教えてください。

宮谷:当社は2021年7月と2022年12月の2回、プレシリーズAラウンドで出資を募った経験があるのですが、初回のリードインベスターを務めてくださったベンチャーキャピタルの担当者に、Angel Bridgeさんを紹介していただいたのが最初の出会いです。

林:当社でシニアアソシエイトを務める八尾(凌介)が、母校のTA(ティーチングアシスタント)を務めたとき、担当した学生さんが、御社でインターンされていたご縁もありましたよね。

宮谷:そうでした。そこから定期的にお話しするようになり、Angel Bridgeさんの出資先をご紹介いただいたこともありました。Angel Bridgeさんから投資を受けようと思った一番の決め手は、ご紹介いただいた出資先のひとつである見積サービスのミツモアの創業者でありCEOでもある石川彩子さんに「絶対に入ってもらったほうがいいですよ」と強く勧められたからです。

具体的にどんなお話があったのですか?

宮谷:石川さんがおっしゃるには、Angel Bridgeさんはプロフェッショナルファーム出身の方が多く、分析力や戦略立案能力に長けており、必要とあれば商談にも厭わず参加してくれる。出資先に対してこれほど熱意を持って対応してくれるVCはそうはないからと力説され、心を動かされました。

林:投資先の経営者にそんなふうに言っていただけるのは投資家冥利につきます。実際、我々とお付き合いしてみていかがですか?

宮谷:石川さんの言葉通りでした。パートナーの林さんをはじめ、シニアアソシエイトの八尾さん、アソシエイトの三好(洋史)さんに担当していただいて本当に良かったと思っています。

Angel Bridgeからはどんな支援を受けましたか?

宮谷:以前、価格体系を見直すにあたって、何を基準に妥当な価格を決めるべきかわからず悩んでいたとき、Angel Bridgeさんから「価格感度分析をやってみませんか」と提案いただいたことがありました。顧客に送る調査項目のリストアップから分析資料の作成までテキパキと進めてくれたおかげで、私は調査票をお客様に送って結果を聞くだけ(笑)。以前から数値分析に強い方々とは聞いていましたが、そのクオリティの高さはまさに戦略ファーム品質で感動を覚えるほどでした。

林:そう言っていただけるのは嬉しいですね。八尾や三好も喜ぶと思います。

宮谷:こうした業務に直結したご支援に加え、Angel Bridgeさんは定期的に投資先企業の経営者が集う会を主催してくださるのですが、それが個人的にはとてもありがたいなと思っているんです。皆でバーベキューやフットサルに興じた後や「クロスラーニングの会」と呼ばれる勉強会で、経営や組織、プロダクトにまつわる悩みについて語り合うのが楽しく、貴重な学びの機会にもなっているからです。経営者は孤独な存在です。古くからの友人を除けば、本音で話せる仲間は多くありません。毎回参加者は20人くらいで、親しく語り合うにはちょうどいい規模感でもあり、実際、個人的な相談ができる経営者に何人も出会えました。

林:我々としてはご縁をいただいた起業家の皆さんはまさにファミリーだと思っています。でそう言っていただけてとても光栄です。

戦略ファーム品質の分析支援に感動

個人投資家や大手VCにはない魅力を育んでほしい

林さんの目に宮谷さんはどのような経営者に映っていますか?

林:輝かしいご経歴をお持ちなのはプロフィールを見れば一目瞭然ですが、それに胡座をかくことなく顧客やビジネスと真摯に向き合っていらっしゃる点が素晴らしいと思っています。創業当初から地方のお客様のもとにも足繁く通っていらっしゃいましたよね。

宮谷:そうですね。当時は毎日100件もの営業電話を掛け、商談のチャンスがあれば日本全国どこにでも足を運んでいました。エンジニア時代に培った技術力だけでは不十分なのはわかっていましたし、部外者である自分が業界のプロに認めてもらおうと思ったら、相手の懐に飛び込みコミュニケーションを取るしかありません。フランスやアメリカ、イスラエルにいたころから、そうやって人の輪をつなげ、仕事をしてきたので泥臭い営業も苦になりませんでした。

林:技術力の高さとフットワークの軽さ、そしてビジネスに対する情熱、そして明るく親しみやすいお人柄も含め、投資家の目から見て経営者としてのバランスが絶妙だと思います。

宮谷:ありがとうございます。

これから、Angel Bridgeにはどんな支援を期待しますか?

宮谷:ビジネスが大きくなるにつれて戦略や分析面でお力添えをいただく機会は今後増えると思いますが、個人的にはAngel Bridgeさんが持つファミリー感が大好きなので、規模が大きくなってもこの雰囲気を保っていただきたいですね。これは個人投資家や既存の大手VCの皆さんには出せないAngel Bridgeさんならではの価値。これからも経営者同士が密な人間関係を育めるような場作りを大切にしていただけたらとても嬉しく思います。

林:そうですね。宮谷さんが持つプロダクト作りのノウハウや事業の海外展開、グローバル人材の採用に関する知見を必要とする投資先は少なくありません。後輩起業家の良き兄貴分として相談にのってあげていただけたら私どもとしても本望です。

宮谷:もちろんです。お役に立つなら喜んでやらせていただきます。

今後の目標を聞かせてください。

宮谷:建設業界は全国に約40万社あり、私たちのサービスを活用していただけそうな企業はおよそ8万社あります。まずはその市場を確実に獲っていくのが当面の目標です。その次の目標としてはやはり海外展開になるでしょうね。まずは巨大な建設市場があるアジアパシフィック地域を手はじめに、ScanXの拡販に努めていきたいと思っています。今後はテラバイト級のデータを一括処理できる新プロダクト「Deep3」にも力を入れていくので、次回シリーズAラウンドでの資金調達が大きな節目になるでしょう。Angel Bridgeさんからのご支援にも期待しています。

林:もちろんです。引き続き資金面からのご支援もさることながら、営業組織の強化や営業先のご紹介など、できることはまだまだたくさんあると思っています。Angel Bridgeとしても、宮谷さんが適切なタイミングで適切なチャレンジができるよう、息の長いご支援をするつもりです。ぜひ日本発のメガベンチャーになってください。

宮谷:がんばります!

読者の皆さんにメッセージをお願いします。

宮谷:スタートアップで過ごす時間は濃密で、1年もあればどんなことでも起こり得ます。良いことや悪いことが入れ替わり訪れる環境にあっても、情熱を失わず前に進み続けるには、好きだと思えるビジネスに取り組むのが一番です。私はお客様のペインをテクノロジーの力で解決するのが何よりも好きですし、その思いを支えてくださるAngel Bridgeさんのような力強い伴走者もいます。熱意ある者の周囲にはおのずと人が集まり、機会が育まれていくもの。ぜひ一緒にスタートアップ界隈を盛り上げていきましょう!