小村:社債に特化したネット証券です。社債の取得勧誘方法には公募と私募があり、現在一般的である公募社債は発行額が数百億円以上という大規模な資金調達に用いられる場合がほとんどです。一方、私募社債は募集対象・方法によってプロ向けの「プロ私募」と少人数に限定した「少人数私募」に分けられます。特にSiiibo証券で取り扱う「少人数私募社債」は、これまで一般に知人や取引先等から資金調達する所謂「縁故債」として利用される等、シンプルで手間も少ないため、中小企業が利用しやすいというメリットがあります。私たちはこの発行・購入の場をウェブ上でプラットフォーム化して提供しています。
社債発行の裾野を拡げて、小規模の企業に対して新たな調達手段を提供することに取り組んでいるのは、社債特化のネット証券という点では弊社のみです。
小村:少人数私募社債は原則無格付けとなるため、大手企業が自社で参入するハードルは高いと考えており、協業の可能性を模索しております。
ベンチャー企業に関しては第一種金融商品取引業者(証券会社)の登録とその準備のハードルが相当に高いと考えます。実際、私たちも登録までに2年ほどかかりました。システムの仕様・文言等細かな確認が必要ですし、新しい形態なので論点が多かったです。
小村:起業自体は大学の学部生時代から行っておりました。当時からグルメサイトの運用等の個人事業をしながら、自分で事業を営むことの難しさと楽しさを感じていました。
債券の領域に着目したのは、新卒で入社したドイツ証券でクレジット商品を扱っていた頃からです。インカムゲインの投資家需要は強くある一方で、供給側となる社債マーケットが日本は小規模で、一定利率が出るよう組成された複雑な仕組債にニーズが集まる等しておりました。お客様が果たして十分に理解をされた上でリスクを取っていただいているのか不明瞭である状況に大きな課題を感じました。
当時から少人数私募社債の仕組みを研究していて、これをウェブ上で提供することでスケールする可能性が高いのではないかと考えプロトタイプを作成する等様々な検証を始めました。しかし、第一種金融商品取引業者の取得は非常にハードルが高いため、フルコミットする必要性を感じ、起業を決めました。
小村:2人とも大学院を出た後も定期的に会って、事業について話した記憶もあります。
松澤はエンジニアとして優秀であるのは勿論、組織づくりや人間性を考えて、起業するならCTOを松澤にしたいと考えていたので、すぐに声を掛けました。
COOの宮崎は総合的に業務全体を統括できるマルチプレーヤを探していた時に、当時マッキンゼーで働いていて、松澤とともに研究室の同期であったこともあってお声がけしました。タイミングもよく、二人とも積極的に参加してくれました。
小村:シリーズBの資金調達に向けて動いていた際に、Angel Bridgeの投資先のCEOが社会人時代からの友人で、興味を持ったので紹介してもらいました。とにかく早く検討していただき、迅速に意思決定をしてくださったことが印象的で、起業家フレンドリーだと感じました。
河西:ありがとうございます。偶然、私たちもデータベースを用いたソーシングをしている中で、Siiibo証券にお声がけしようと決めていたんです。ちょうど1週間後くらいにご紹介の連絡があったときは驚きました。
小村:面談を重ねる中でAngel Bridgeの体制や社員の皆さんから学べることが多く、ぜひ今後もアドバイスをいただきたいと思ったからです。カルチャーフィットも感じていて、感覚や細かな仕事の進め方、コミュニケーションの方法等が合っていると思います。
河西:もともと私は金融機関出身で私募債への理解はあったのですが、それをネット上で簡単に発行できるという事業がイノベーティブで面白いなと思いました。ニーズという面でも、ローン等ではなく社債の発行によって資金を調達したいというケースが多くあることはベンチャーキャピタルとして日々実感していますし、マーケティング要素のニーズもあると思いました。
さらに、経営チームがバランス含め非常に魅力的だったことも大きな決め手です。個別にインタビューを行う中で信頼できる方々という印象でしたので、ぜひ応援したいと思いました。我々としてもカルチャーフィットを感じていましたね(笑)。
河西:小村さんは大志が大きい起業家だと思います。社債を世の中に広めていくということに対してのパッションが大きいですし、真面目に取り組んでいる印象ですね。事業を進めていく上で非常に重要な、プロダクトへの強い思いをいつも感じています。
小村:アーリーから上場に向けて体制を整える中で、河西さんには会議体の運営や事前準備、リクルーティングに関する知見をいただいています。社内に上場まで会社を牽引した経験を持つ人がいないので、とてもありがたいです。
おかげさまで、シリーズBで投資をしていただいてから、さらにしっかりと体制を整えることができていると感じています。
小村:プロダクトへの思いや自分の作りたい世界観をしっかり持つべきだと思います。
会社を経営していく中で本当に苦しいと感じることもありますし、周囲の起業家の方々からもそういったお話はよく伺います。逆境を乗り切って最後までやりきるためには、やはりCEOの事業に対する強い思いが必要だと感じています。
小村:シンプルなものに投資ができる世の中にしたいです。現状、シンプルな商品は株式が中心で投資家様のポートフォリオにおける債券の割合はまだまだ小さいです。私たちは、投資家様に適合した商品をお届けしていくことで、社債という選択肢をより多くの方々に広めていきたいです。
さらに、ベンチャーデットが盛り上がりを見せる中で、発行企業側の市場も開拓していきたいと考えています。今後拡大が予想される、地方の有力な中小企業が外部資本を入れるニーズ等につなげていきたいです。