飛内:主にKYC(本人確認)とコンプライアンスチェックに関わるデータの提供とコンサルティングサービスを行っています。反社会的勢力等の団体に所属していないか、過去に犯罪や不祥事への関与などがないかなど、主に属性を見てアドバイスを提供しています。
具体的な方法としては、公知情報というインターネット上のメディアや風評などの情報をシステムで定期的に取得して、ノイズを消去し、顧客に必要な情報だけを自動で抽出、整形、解析します。公知情報の取得は30分に1回のペースで24時間、365日行っています。
飛内:いくつかありますね。一方でKYCやコンプライアンスチェックに関わる情報を提供している企業は、これまで労働集約型で人の手で行うことが中心でしたが、弊社はそれをシステムに置き換えて自動化しています。ヒューマンエラーやチェックスキルといった属人的な作業を均一化でき、さらにコストが格段に下がるといったメリットがあります。
飛内:私は20年以上の間、危機管理会社で企業のリスクマネジメントを行っていました。その中で企業不祥事・事件・事故を数多く見て、このようなことが起きてほしくないと思ったのがきっかけです。
また、これまで労働集約型で行われていたKYCやコンプライアンスチェックに対し、新しい金融サービスであるフィンテックやDX目線を取り入れながら効率化、コストダウンを行う必要性があると感じたため、思い切って新しく会社を立ち上げました。
飛内:顧問には伊藤忠の元常務である木村とジャスダック証券取引所の元常務である徳原がいるほか、営業では金融機関出身者やインターネット風評に関わっていた方がいます。
私はブロックチェーン推進協会のリスク管理部会で会長を行っているので、そこで知り合って加入したエンジニアもいます。
飛内:2019年に生損保会社のコンサルタントの方に林さんをご紹介していただき、まずお人柄が素敵だと思いました。私は起業したばかりで右も左も分からない状態でしたので、ハンズオンで経営のノウハウを指導してもらえると伺って、さらに魅力を感じました。
特に、アイデアをビジネスとしてどう具現化するかを教えてもらえたところがありがたかったです。当時はシード期でまだまだビジネスが成り立っていないタイミングでしたので、リスクを取っていただいたのではないかと思います。
林:社会の非効率化を解消する中で、手続きの電子化という流れが来ると感じていて、リスクを予知する取り組みも電子化されるのであれば、あらゆる場面でサービスが使われるだろうと思いました。また飛内さんのご経験と工夫を電子データベース化すれば、他に類のない高度な仕組みができると思いました。
林:サービスが有用であることは確かでしたので、個人情報保護という課題について飛内さんの取り組みを確認しました。また、グレーヘアのスタートアップなので体力・精神的に大丈夫かという心配はありましたが、飛内さんの十分な覚悟を確認できたので投資に至りました。
飛内:定例会を月1回開催していただき、前月や中長期での取り組みについての報告と、それに対するアドバイスをいただいています。不定期でお客さんの紹介・経営上のアドバイスなどもしていただいています。
林:今後は人材紹介も強化していきたいです。
飛内:以前、外国人の集まりでピッチをしたことがあるのですが、その時に「日本にもシニアアントレプレナー(起業家)がいることを海外へ知らしめてください!」と言われました。海外にはシニアが経営する企業が日本より多いのですよね。日本は少ないとはいえチャンスはいくらでもあるはずなので、失敗を恐れず、諦めなければ成功するのではないかと思います。
林:人生一回ですから、やりたいことをやるのは大切ですね。
飛内:私たちは「KYCを社会インフラ化すること」をミッションとして掲げています。KYCは企業にとって重要なプロセスの一つですから、これまで資金が潤沢な中規模以上の企業でないと利用できなかったのを、小規模の会社まで広げていきたいですね。
また、悪い人って世の中に1割もいなくて、9割以上の方々が家族や社会のために真面目に働いています。私たちは、表向きは悪い人を健全な経済取引から排除するという取り組みを行っていますが、本当に光を当てたいのはこの9割以上の方々で、彼らに社会的受益を得てもらうには何が必要なのかを考えています。具体的には格付けなど、情報に対して新しい価値を付けることが大事だと考えています。SNSでの発信やボランティアとかなども個人の重要な情報の一つです。個人の多面的な評価を日本にも根付かせたいです。
飛内:企業の事件・事故・不祥事や、そこから生じる二次被害といった不幸ができる限り起こらない社会を作りたいです。
KYCは海外ではポピュラーで、大きなコストをかけて行われており、水準で言うと日本はまだまだ低いです。今後、日本企業がグローバルに進出するためには、海外のKYC先進国と同様の水準が必要です。そのため、私たちはKYCを広く日本社会に根付かせ、より健全な取引を行うことができる環境を構築していきたいと考えています。