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Angel Bridge投資の舞台裏#5(株式会社Fivot)

フィンテック領域で注目の集まる新しい資金調達手法”RBF”。日本で先駆ける Fivotへ投資した理由とは

2022.04.01

今回は、SaaS事業者やEC事業者向けにRevenue Based Financing(以下RBF)を提供する株式会社Fivotへ投資した理由を解説します。

まずRBFとは資金調達を行った企業が投資家に対して、その売上高に応じて返済を行うという資金調達方法です。この手法によって企業は株式を希薄化することなく、またスピード感を持って資金調達を行うことができます。

RBFは先行投資が必要かつ、将来の売上高の見通しが立ちやすいSaaS企業やEC事業者が対象です。これらの企業が成長している現在、RBFの需要もますます大きくなると考えられます。そのような背景から、日本でRBFを提供する数少ないベンチャーの一つであるFivotに可能性を感じ、投資に至りました。

それではAngel BridgeがFivotに投資する際にどのような点を検討したのかについて、ご紹介します。

RBFとは ニーズと市場の成長

RBFとはどのような資金調達方法なのかについては以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
Angel Bridge USベンチャー研究#3資金調達プラットフォームを提供する「Pipe」の事例

簡単にいうと、RBFとは資金調達した企業が毎月の売上高から一定の割合で返済するという仕組みの資金調達方法です。

RBFとは ニーズと市場の成長

RBFでは従来の資金調達方法でベンチャー企業が感じていたペインを解決することができるため、強いニーズがあります。
(下の表を参照)

RBFとは ニーズと市場の成長

環境の変化もRBF市場の成長を加速させています。

まず、RBFの対象となるSaaS企業やEC事業者は増加しています。これらの企業の成長には先行投資が欠かせません。親和性の高いRBFの需要はこれらの企業の成長と共に今後さらに大きくなると予想されます。

また、RBFの特長のひとつとして資金調達までの速さがありますが、これには審査に必要なデータを取得する環境の整備が寄与しています。SquareやStripe, Shopifyなどの決済サービスの普及により、審査に必要な詳細な取引データやKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)の取得が容易になったことでRBFが広がっています。

実際に海外ではRBF市場が大きく成長しています。複数のユニコーンが誕生し、2019年には市場規模は9億ドルでしたが、2027年には423億ドルに到達すると予想されています。

RBFとは ニーズと市場の成長

ビジネスモデル

Fivotはまず、RBFを提供するための原資として銀行からの融資を含めた複数のデットファイナンスに加え、現状はVCなどからエクイティ(株主資本)で調達した資金も原資として活用しています。将来的には、ファシリティファイナンスや債権の流動化を活用し、より大規模な流動性調達の手段を実行していくことを予定しています。

次に、調達した資金を原資として、将来の売上高を見通しやすいSaaS企業やEC企業に対してRBFを提供します。この時のRBFの金利と、Fivotの調達金利の差がFivotの利益となります。

ビジネスモデル

競合

日本でRBFを提供するプレイヤーはFivotのほかには1~2社のみです。この領域に先行する競合は存在しておらず、Fivotが先行優位を築くことができると考えています。

ただし近接領域として、既に発生している売掛債権を買い取ることで資金提供を行うファクタリングサービスが存在し、上場企業やスタートアップがひしめく熾烈な競合環境となっています。将来的にはこの領域のプレイヤーがRBF領域に進出してくることも想定されます。しかし、そもそもRBFの市場が大きいため複数社の共存が可能であり、さらに先行優位を築いておくことで一定のシェアを確保できると考えています。

経営陣

Angel BridgeがFivotに投資するにあたり、経営陣への理解を深めました。

代表の安部氏は一橋大学卒業後、メリルリンチ日本証券で経験を積んでいます。投資銀行部門の中でも金融セクターを担当しており、金融や規制に関する知識は深く、銀行を変革することへのパッションと事業領域との強いフィットを感じました。

CFOである佐保氏もメリルリンチ出身です。両者相互の信頼も厚く、性格的には相互補完的な面もあり、このチームなら最後まで事業をやりきることができるだろうと考えています。

また、その他のチームメンバーへのインタビューからもマネジメントの二人がチームに信頼されていること、マネジメント二人の間の信頼関係が強いことを確認することができました。メリルリンチ時代の同僚へのインタビューでは二人の前職での評価の高さ、コンビネーションの良さを確認できました。

経営陣

トラクション

トラクションとしては、すでに多数のRBF実施実績があり、対象企業にはSaaS, D2C企業が含まれていました。また、RBF利用の具体的な相談を受けている企業のパイプラインが大量に積みあがっており、RBFを提供する原資さえあれば急速に拡大できる状況でした。企業がRBFで借り入れる資金の使い道としては採用、商品の仕入れ、広告などが挙げられます。ベンチャー企業の先行投資資金として、RBFには強いニーズがあると考えられます。

おわりに

海外ではすでにポテンシャルが示されているRBFという事業領域、その事業領域とフィットしている経営陣など、Fivotにはメガベンチャーになる要素が詰まっていると考えています。

Angel Bridgeは社会に大きなインパクトをもたらすために、あえて難しいことに挑戦していくベンチャーこそ応援しがいがあると考えており、こういった領域に果敢に取り組むベンチャーを応援していきたいです事業の壁打ちや資金調達のご相談など、お気軽にご連絡ください!

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