ソーシング・バリューアップでだいたい半分ずつ時間を使っていますね。コロナ前は投資先に実際に伺ったり出張もしていたりしましたが、今はオンラインで行うことが多いです。
もともと両親と祖父が大学の教授でして、アカデミックな環境で育ちました。そのため小学生の頃はノーベル化学賞をとりたいと文集に書いていたほど、真理の探究であったり、物事を深くまで突き詰めたりする世界観が素晴らしいと思っていました。
そういった背景から、バイオテクノロジーで世の中を変えるような研究者になりたかったので、東京大学の農学系研究科に進学し稲の遺伝子組換えの研究をしていました。研究はすごく楽しかったのですが、そういったテクノロジーを世の中に広げること自体への興味が薄い人が多く、だんだん本当に研究者として自分が生きていくべきか、疑問を持つようになりました。
仮説を立て、それを検証するというサイクルが好きだったので、プロフェッショナルファームのように仮説を死ぬほど深掘りして証明していくといったプロセスは、研究対象が稲から会社に変わっただけで思考プロセスは変わっておらず、自分にとても合っているなと思ったからです。
また、自分の本質的な価値をあげたかったので、ゴールドマンサックスのように手に職をつけてどんどんキャリアアップをしていく、組織に根付かない仕事に就きたいと考えていました。
ゴールドマンサックス入社後は、M&AアドバイザリーやIPO・資金調達の支援など様々な業務を経験しましたが、その中でもPEファンドとの仕事が一番面白かったですね。ある会社のある事業部門を買収するべきか、いくらで買うか、といった事をとことん考えるのが好きでした。
投資銀行はアドバイザーであり意思決定者ではないため、会社を買収するべきか等をとことん突き詰めるPEの方が自分に合っているなと思ったからです。
ゴールドマンサックスで働いていた頃のM&A案件の買い手がベインキャピタルだったので声をかけていただき、入社を決めました。当時はちょうど日本オフィスを開設している段階で7番目のメンバーでしたね。
もともと学際肌なので、一度海外で勉強したいと思い、金融に強いシカゴ大学のMBAに進学しました。実際行ってみると結構暇でしたので(笑)、自分としての生き方をずっと考えたり、自分が普段どんな点を見て目利きしているのか、どういった会社がいい会社だと考えているかを整理したりすることに時間を費やしていました。
それまでのキャリアを通してずっと投資が楽しいと思っていたので、今後も投資家として生きていこう、そしていつか自分のファンドを作ろうと考えるようになりました。自分の人生と向き合うことができた、非常に貴重な時間だったと思います。
修了後は、PEでの仕事がやはり好きだったのでPEに戻ろうと思いました。江原さんというユニゾンキャピタルの創業者の方がシカゴ大学のMBA出身で、非常に魅力的な方だったのでぜひ一緒に働きたいと思い、ユニゾンキャピタルに入社し4年ほど働きました。
PEのバリューアップをスタンダードにベンチャー企業の支援をすることは、非常に価値があると思っています。
というのも、PEは100%投資先のオーナーであり、かなり会社のバリューアップに時間を割くので、その経験は現在に直接生きており、我々ほど事業に入り込んで、価値向上に命をかけてやる人はなかなかいないのではないでしょうか。
また、PE・上場株投資を経て、VCも経験すると、エクイティ系は全部経験しており企業の成功例や失敗例をたくさん見て来ているので、ステージは違えど目利き力に深みが増すと思っています。そのため、例えその事業が一切周りから評価されていなくても、Angel Bridgeではその事業が良いと思えれば投資できます。
日本に価値貢献をしたいという想いが私の根源にあり、優秀な人ほど日本のために働かないといけないと常に感じています。
優秀な人ほどリスクをとってチャレンジしていくべきだという想いが、こういったキャリアを歩むことに繋がっていると思いますね。
PEの仕事は面白いのですが、ある程度出来上がった会社を100から200、場合によっては300にバリューアップするような案件が多いです。
しかし、今の日本においてはそういったバリューアップではなく、ゼロイチをたくさん起こし、未来の日本を作るようなベンチャーを創っていくことこそが必要とされているのではないかと思うようになったからです。
自分の気持ちを100%込めたファンドで勝負したい、テクノロジーで大きな社会課題を解決したいと思ったからです。
創業する前からずっと、大学に眠る技術を切り出してしっかり目利きし、大学の先生と力を合わせて事業化したいという気持ちがありました。日本の大学にはいろんな技術シーズが眠っていますが、ビジネス化に至ることは非常に少ない事を痛感していたからです。
私には今までの経歴からバイオテックの肌感があるので、大学系ベンチャーにリスクマネーを入れ、ハンズオン支援をすることでこれを達成できると思いました。
また現在は大学発ベンチャーだけでなくITベンチャーへの投資も積極的にしております。こういった活動も、大きな社会的課題を解決したいという想いから行なっています。優秀でやる気のある経営チームがリスクを取って新しいものを生み出していこうとする活動こそが今の日本にとって必要であり結果的にGDPへの貢献につながると思っています。
創業当初は個人の富裕層からの資金で投資を行っていました。アーリーステージの投資はリスクが高く、グロースするまで時間がかかります。そういった背景から、シード投資の自由度には個人の富裕層の資金が一番フィットすると思ったからです。Angel Bridge自身も徐々にスケールする中で規模感を出すにはやはり機関投資家の資金が必要であると感じるようになり、今では機関投資家からの資金が中心となっております。
林さんは当時エンジェル投資家としてアーリーステージのベンチャーを支援しており、私と同じ目標を持っていたので是非一緒に創業しようということになりました。林さんは人のネットワークにとても長けており、私とタイプが違うので相互補完的に働くと思ったのです。
また林さんと一緒にいると純粋にとても楽しく、今後いろんな山あり谷ありがきっとあるけれども、林さんとなら乗り越えていけると感じました。
エンジェル投資家と起業家の橋渡しをしたい、という思いからこの社名をつけました。
個人の富裕層からお金を預かり、命をかけている起業家に橋渡しをすることは、我々がしっかり事業を目利きすることによって、あるべきところに正しくお金をアロケーションするということであり、それだけでとても大きな価値が生まれると思っています。
またそれだけでなく、投資した資金を有効活用するように起業家と一緒になってバリューアップすることで、最適アロケーションのインパクトを増やせると思っています。
これにより大きな事業がたくさん生まれることは非常に社会的価値がありますし、パッションのある起業家の夢を、私たちは主役ではなくサポーターとして叶えてあげたいと、常に考えています。
起業から上場まで経験した12人の東大出身の起業家の方々と、東大創業者の会というファンドを運営しています。東大出身の起業家が増えてきているので、アーリーステージの後輩を支援しようということでファンドを設立しました。現在は10社の東大発ベンチャーに出資・メンタリングを行なっています。
また金融開成会という、開成出身で金融業界に行った人が集まる会の幹事をやっています。マネックスの松本さんや、日銀、金融庁、外資系、ファンド出身者など800人ほどが所属しています。開成に新校舎を作るような真面目な事業の傍、夏に館山に行ってふんどしを巻いて泳いだり、砂浜で騎馬戦をしたり、といった中高生のようなことも未だにやっています(笑)。
起業家の方が成長していくのを一緒に見るのが非常に楽しいですね。またそれと同時に、Heartseedのように研究者の方がだんだん夢を叶えて大きくなっていくのを見届けること、そして事業が大きくなっていくのを隣でファンとして見るのも、本当にやりがいがありますね。
投資を通じて日本を豊かにしたい。そのために、独自のテクノロジーで大きな社会課題を解決していくようなユニコーン企業を生み出していきたいですし、そういったパッションのある起業家をこれからも支援したいと思っています。
Angel Bridgeとしては、さらに多くの人を支援し、インパクトを上げるためにファンドサイズは上げていきたいと考えています。
また今後八尾のようなキャピタリストを育て、色々なところでAngel Bridge流のバリューアップが起こると世の中により多くの正のインパクトを出せると考えているので、キャピタリスト育成にも力を入れていきたいです。
私の人生哲学として、「念ずれば花ひらく」という言葉があります。
誰よりも強く念じ、毎日寝る間も惜しんでどうすれば夢が叶えられるかを強く考える。そうすると何かが見えてくるし、やりきるために努力を続けることは馬鹿にならない。
日本再興の切り札はスタートアップにあると私は考えているので、そう思っている起業家の方々を、念ずれば花ひらく精神で支援していきたいと思っています。
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