昨今ベンチャーキャピタル (VC) の数は増加傾向にあり、インターネット上には様々な情報が散乱しています。起業家の皆さんも、どのようにVCを選べばいいのか分からないと感じているのではないでしょうか。良いVCを見つけても、具体的にどのようにアプローチすればよいか分からないこともあると思います。
そこで、前回のスタートアップアカデミー#1|シードベンチャーの資金調達の考え方とは? では資金調達の考え方を解説しましたが、今回は実際にVCを選ぶ過程で必ず押さえておくべきポイントをご紹介していきたいと思います。
まず、資金調達を行う際のプロセスを簡単にご紹介します。
資金調達には大きく分けて以下の7つのステップがあります。
一見とても大変そうですが、あらかじめセオリーを抑えてしまえばほとんどの工程はスムーズに進めることができます。今回フォーカスする「④投資家へのコンタクト」については会社の属性によって取るべき対応が異なります。数多くのVCから自分の事業に合ったところを選択するには、資金以外の面でVCに何を求めるかをまず考えましょう。求めるものは事業内容・ラウンドによっても異なるため、それらに応じて当然お声がけすべきVCも異なります。
では、実際に日本にはどのようなVCがあるのでしょうか。
国内のVC・投資家は以下の図のように、投資先の企業のステージや出資母体の違いにより棲み分けされていて、シード特化、独立系、CVC、金融系、グロース系、外資系、機関投資家系等に分類されています。
それぞれのVCの特徴をご紹介しましょう。
以下の図はこれらのVCの属性別投資額割合を表したものです。
投資額で見ると、独立系VCが全体のおよそ3割を占めています。また、2019年から2020年にかけては金融系VCの割合が大きく減少し、CVCが増えていることが分かります。CVCについては、事業会社側の新たな成長ドライバー発掘のニーズの高まりから、年々設立件数・投資額ともに増加が見られ、今後も規模の拡大が見込まれています。
いよいよ個々の投資家を検討していきますが、まずは資金調達するVCの構成を決めるところから始めましょう。
調達先は1社に限定せず、2-3社から調達することをお勧めします。1社に絞ってしまうと、そのVCの持つ決定権が大きく、方針が合わない際に継続が困難になってしまいます。逆にVCが多すぎても各種手続きに時間がかかりすぎてしまいます。
それぞれ異なる強みの支援を受けることができるうえ、追加出資が受けられないというリスクを減らすことができるという点で2-3社から投資を受けるのが適切と考えています。
複数の投資家から資金調達する際には、リード投資家、フォロー投資家という概念を理解する必要があります。
リード投資家は基本的に各資金調達ラウンドで最大の投資額を出す投資家のことを指します。投資時にはそのラウンドの投資家を代表して投資条件の交渉や契約書の作成の取りまとめを行います。投資後は投資先との接点も最も多く持ち、株主を代表して最大限支援を行う存在となります。
一方で、フォロー投資家はリード投資家をフォローするという立場で、必要に応じて支援を行います。
リード投資家をまず決定し、そこで合意した条件でフォロー投資家を決めるという流れで調達を進めます。
このようにリード投資家は起業家にとって、パートナーとも呼ぶべき関係性となり、重要な役割を持ちます。リード投資家の選択はとても大きな決断と捉えて、慎重に行うことをお勧めします。
では実際に投資家を選ぶ際に、どのようなポイントを見たらいいのでしょうか。
我々が数々のスタートアップに投資を行ってきた中で、特に抑えておくべきだと感じる4点をご紹介します。
以上を踏まえて、調達ステージ毎の資金調達の意味とどういったVCから調達するべきかをセットで考えると、自分に合ったVCに出会えるのではないかと思います。
まずはそれぞれのVCを知ることが大切です。最近ではどのVCもSNSやブログ記事、イベントなどで積極的に情報発信しているので、簡単にチェックすることができます。投資先の評判を聞いたり、知人のつてを使ったりして情報収集を行いましょう。
アプローチ方法としてはツイッターアカウントへのDM・オフィスアワーへの申し込み・HPへの問い合わせ・人づての紹介・イベントへの参加などたくさん考えられます。後悔のない資金調達ができるよう、最大限活用していきましょう。
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