COLUMN

Angel Bridgeジュニアアソシエイトの業務紹介

インターンの立場から学べること

2021.09.07

みなさんこんにちは、Angel Bridgeでジュニアアソシエイトとしてインターンをしている河野です。現在東京大学大学院医学系研究科の修士2年に在籍しながら、週5日間フルコミットで働いています。今回は、Angel Bridgeというベンチャーキャピタルで約半年間インターンをして学んだことについて書いています。最近VCでも学生インターンの募集が増えてきたので、VCのインターンってどんなことをするの?と疑問に思っている学生の方々の参考になればと思い、記事を書くことを決めました。文章を読んだだけではイマイチぴんとこない部分も多いかもしれませんが、できるだけイメージしやすいよう書いてみたいと思います!


Angel Bridgeの第1号インターン生となった経緯

それではここで、私がAngel Bridgeでインターンを始めることになった経緯について簡単に紹介します。

私はAngel Bridgeで働く前にもLinc’wellというヘルスケア領域のベンチャー企業で2年ほどインターンをしていました。もともと私は東大に入学したころは研究者志望で、国立の研究所にて長期インターンをしていましたが、段々とビジネスサイドにも関わってみたいと思うようになり思い切って応募してみたのがきっかけで、Linc’wellでもインターン1号として働くことになりました。私がジョインした頃はまだメンバーも少なく、毎日がむしゃらに働いていてとても楽しかったです。

Linc’wellはもの凄いスピードで成長しているベンチャーで、働いている中で資金調達の話題が出たり、既存VCについて考える機会もありました。そして、こんなにワクワクするベンチャー企業と関わることができるVCの仕事はさらにワクワクするのでは?と感じるようになりました。

VCはインターンどころか新卒を募集しているところもほとんどないような業界で、なかなかインターンをするのは厳しいのかと考えていました。しかし当時参加していた大学のゼミのTAとして弊社アソシエイトの八尾が参加していることに気づき、ダメもとで連絡してみたところ、無事インターン生1号として働くことが決まりました。

一見新卒やインターン生を募集していないように見える企業でも、ダメもとでアプローチしにいく姿勢が大切だと思いますし、これは学生の特権のような気がします。

Angel Bridgeのカルチャー

日本にはいろいろな母体のVCがありますが、Angel Bridgeは外資系投資銀行・PEファンド出身の河西が2015年に設立したVCです。

Angel Bridgeのキャピタリストは私が加入した当初3名しかおらず、同世代のメンバーももちろんいなかったため内心びくびくしていましたが、勤務初日から1週間かけてとても濃密なオリエンテーションをしていただき、その面倒見の良さにとても驚きました。VCの業務の説明から始まり、1社1社投資先の紹介までしていただいたので、VCについて知識がなかった私にとってはとてもありがたかったです。

また、仕事外でもゴルフに行ったり、宮古島でアウティングをしたりと、とてもアクティブに楽しんでいます(笑)

インターンを通しての学び

それでは本題に入りますが、半年間どのような業務をVCで行ってきたのか、それにより得られた学びについていくつか紹介していきたいと思います。

ソーシング・目利き

まずはベンチャーのソーシング・目利きについてです。ソーシングとは投資先となるベンチャー企業を探すことを指し、その後投資決定に至るまでの検討過程を目利きやデューデリジェンスと言います。

私が働き始めてからはずっとコロナ禍で、オフラインのイベントなどに参加してソーシングをするような機会はなかなかなかったため、リストを使ったソーシングが主でした。具体的には、INITIALのようなデータベースを使って、事業内容や過去調達歴などのテーマで絞りソーシングをしました。

ソーシング活動を経て学べたことは沢山ありますが、その一部をご紹介していきます。

1. 起業家から見えている世界
VCでインターンを始めてまず、日本にはこんなに沢山の起業家がいるんだ!と大変驚きました。起業家の方々は何か強く信じているものや、成し遂げたいことがあって起業されていますし、ソーシングを通した対話の中で大変刺激を受けました。
身の周りに実際に起業している人がいないとなかなか起業のイメージが湧かないと思いますが、VCで働いていると起業をより身近に感じることができます。私自身起業を勧められることはあっても具体的に起業という選択肢を考えたことはありませんでしたが、実際に何人もの起業家の方とお話をすることで、初めて起業という選択肢をリアルにイメージできるようになりました。
また、起業は確かにリスクを伴うかもしれませんが、それ以上に、無事上場しさらに会社を成長させていく時やその過程で得られるもの、見える世界は素晴らしく、リスクを取るに値するのだと起業家へのインタビューなどを通じて感じました。
例えば、自分が作ったものが世に出ていき誰かのためになる瞬間はきっとかけがえのないものですし、同じ志を持ったメンバーがどんどん集まって組織が大きくなっていく感覚や、一緒に多くの困難を乗り越える経験は、やはり実際に起業することでしか得られないのだと思います。
2. ビジネスの本質を見抜く感覚
起業家にコンタクトをとるか否かを決める際の判断基準として、自分の中でいくつか最低限チェックするポイントを決めています。この判断基準はソーシングを重ねるにつれてブラッシュアップされていきましたし、それにつれて判断の精度も上がっていったと思います。
ビジネスの本質を見抜く感覚
また、実際に起業家と初めて話した後投資に至るまでには更にデューデリジェンスをする必要があります。こちらの記事に詳しくまとめていますが、ビジネスモデル・市場環境・競合などのビジネス面と、経営陣の経歴・人柄に至るまで様々な点を短期間で検討します。特にシード段階だとこの中でより経営陣の比重が大きいと思います。
誰しも人生で一度は自分のアイデアをピッチする機会があると思うので、そのビジネスが将来成功するかを現状の情報だけで判断するためにどういったポイントを見られているのか、もしくは見るべきなのか学ぶことができるのは、かなり今後のキャリアに生きてくると思います。
3. ニーズを的確につかみ取り、正しくアピールすること
近年国内のVCが着々とファンドレイズを進めており、起業家にとってはより一層資金調達がしやすい環境になってきていると思います。そのため我々が投資したいと思うベンチャーを見つけたとしても、そのベンチャーにも我々から投資を受けたいと思っていただき選ばれなければいけません。
起業家との対話の中で、彼らがどういったサポートを必要としているのか、また我々がVCとしてどんなバリューを出していけるのかを探っていくことも重要だと学びました。
バリューアップ

投資後のバリューアップの仕方はVCそれぞれだと思いますが、Angel Bridgeは投資先を絞っており、投資後もニーズがあれば積極的に支援ができる体制を整えています。私は以下の図の中でも特に(事業)についてお手伝いをしてきました。

ニーズを的確につかみ取り、正しくアピールすること

4. 自分の立場だからこそ出せるバリューについて試行錯誤すること
VCの立場から支援できることは限られていますが、ずっと同じ事業をやっていると意外と気づきにくいポイントなどを外部の視点から見つけ、起業家とディスカッションするのは非常にやりがいがありました。外部からの視点だからこそ出せるバリューは何なのかを試行錯誤することは、例えばコンサルティングファームで将来活躍したい方などには特に生きてくるかもしれません。
マーケティング
5. ベンチマークとの差異を可視化し、社内で意識を揃えること
VC自体の業務は以上が主ですが、Angel Bridge自体もまだまだメンバーが少なくベンチャー的な側面があるので、より多くの起業家に知ってもらうためのマーケティングが必要でした。起業家の友人にVCのどういった点を見ているかなどをヒアリングし、Angel Bridgeに足りないものを可視化することで、マーケティングを強化するにあたって社内の意識を揃えることができました。
ここでは私が入社してから行ったマーケティング活動についてご紹介します。
・HPの改訂
まずはHPを大きくリニューアルしました。私が入社した頃はまだ秘密組織的にやっており、HPに詳しい情報をあまり載せていませんでした。そのため、会社のMissionからメンバーのページまで全て一から作り直しました。
HPをリニューアルしたことで起業家の方々とのアポイントメントが取りやすくなりましたし、事前にAngel Bridgeについて知っていただいてからお話しすることが可能になりました。
・記事作成
HPの改訂が終わってから、記事の作成も始めました。Angel Bridgeメンバー・投資先メンバーへのインタビュー、投資先の業界研究記事などを中心に書いています。特に、VCが投資意思決定にいたるまでにどういったことを考慮しているかを紹介した記事はかなり閲覧数がつきました。起業家がどんなコンテンツを必要としているのかを探っていくのもとても面白いです。
・Twitterアカウントの始動
今ではほとんどのVCのキャピタリストがTwitterをやっていますし、有力なソーシングルートになってきていると思います。最初はTwiterをやることに少しためらいがあったAngel Bridgeメンバーも、今では積極的にツイートしてくれています(笑)
こういったマーケティング活動を通して、Angel Bridge知ってます!とか、記事読みました!と言ってもらえる瞬間が増えたことは私にとって何よりの喜びでした。社会を良くするために活動している人がどんどん世に出ていくこと、そして組織が大きくなっていく瞬間に、私はやりがいを感じるなとつくづく実感しています。

少人数の組織で働く際に大切な2つの習慣

最後に、少人数の組織で働く際に気をつけるべきであると私が感じた点についてご紹介します。これはシード期のベンチャー等にも当てはまると思いますが、VCはたいてい少ないメンバーでやりくりしていることが多いので、VCでのインターンにも当てはまる重要なポイントだと思います。

6. 細かな目標設定と振り返りを怠らないこと
メンバーが少ないと、共に高めあう同期のような存在はいないですし、上のポジションも年齢が開いていることが多いので、ベンチマークを見失ったり、自分が成長しているか実感しづらかったりすると思います。
このような状況を回避するために、私はインターン初期に自分のリソースのアロケーションと年間達成目標を設定し、さらに月に1回アソシエイトの八尾に1 on 1をしてもらい目標達成度の振り返りや次の1か月の達成目標を設定するようにしていました。客観的な視点からの評価は必ず成長に繋がると思いますし、これを怠るとだんだんだれていってしまうと思います。
少人数の組織でのインターンは裁量権を多く持ちやすい分、色々なことがあいまいになりがちなので、こういった心掛けが非常に大切です。
7. 自分から仕事を見つけにいく姿勢
メンバーが少ないと尚更、待っていれば上司から仕事が降ってくるというような環境は非常に稀だと思います。そのため、常にファンド全体のステータスを把握しておく心構えが必要です。今ここのリソースが足りていなさそう、そろそろこのタスクに着手した方が良さそうといった、自分から常に動きにいく姿勢がかなり重要だと思います。
「なんだかやることなくなったな」という状態は発生するはずがなく、そこには無限にタスクがあるはずです。上司の仕事を奪いにいくぐらいの姿勢でいることがベストです。

最後に

今までAngel Bridgeで半年間働いてきた中で、VCでのインターンは本当に色々なことが学べる最強の環境だと感じました。この半年間は本当に手探りの状態でしたが、これからはさらに自分で試行錯誤しながら学びを深められるのではないかと強く感じています。

ここまでの長文を読んでいただきありがとうございました。VCのインターンに興味を持たれた方は、ぜひAngel Bridgeのインターンに応募してみてください!

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