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Angel Bridge投資の舞台裏#23(株式会社ログラス)

クラウド経営管理システムを提供する株式会社ログラスに投資した理由とは。

2024.08.01

2024年7月に株式会社ログラス(以下ログラス社)が、シリーズBラウンドにおいて累計約70億円の資金調達を発表しました。Angel Bridgeも本ラウンドにおいて出資しています。

ログラス社は、経営企画向けのクラウドシステム『Loglass 経営管理』の開発・提供を行うスタートアップです。従来のExcelベースの経営管理は、作業の属人化や人為的なミスの温床となるだけでなく、経営の意思決定を複雑にしていました。ログラス社は、このペインにアプローチするため、データの集計作業を自動化した、誰もが直感的に操作できる経営管理ソリューションを提供しています。

この記事では、Angel Bridgeがログラス社に出資した背景について、経営管理ソリューションを取り巻く環境と、ログラス社の強みに焦点を当てて解説します。

  1. 経営管理ツールの市場構造
  2. ログラス社のプロダクトと高い成長性
  3. 経営陣
  4. おわりに

1.経営管理ソリューションの市場構造

まず、経営管理ソリューション市場の全体像を説明します。

企業の経営管理とは、経営目標を達成するために戦略・計画を策定し、その遂行のために社内リソースの管理・調整や設定した経営指標に対する実績のモニタリングを行うことを意味します。従来は経営管理のために活用するツールと言えばExcelでしたが、データの統合コスト・ファイル保守コストの大きさや、タイムリーな経営判断を行いづらいといった課題が存在し、経営企画担当/経営層の双方にとって課題が存在する領域でした。

図1.従来の経営管理のペインとログラス社のアプローチ

そんな市場の中で、データの統合や即時性の高い共有を可能にするソリューションが複数登場しており、導入が進んでいます。経営管理の業務はどの会社でも存在する業務ですが、企業規模によって管理するべきデータの量や複雑性が異なることもあり、市場は業界トップ企業、エンタープライズ〜ミドル、個人事業主や中小企業(SMB)で概ね棲み分けられています。具体的には、業界トップ企業向けのツールは、細分化されたデータ管理や高度な分析機能、各部門の特定のニーズ(管理体系や、勘定科目/明細ベースといったデータの粒度)に対応できるカスタマイズ性など、豊富な機能性に加えて、データ量への高耐久性などが求められます。SMB向けのツールは、高い操作性と導入の簡単さを実現するために、機能を絞って作られていることが多いです。

図2.経営管理ソリューション市場における棲み分け

ログラス社は、上記の分類の中で、主にエンタープライズ〜ミドル企業をメインターゲットにし、必要十分な機能を、操作性の高いUIで提供することで、独自のポジショニングを築いています。

ログラス社がメインターゲットにしているエンタープライズ〜ミドル企業だけでも4.6万社、市場規模にして数千億/年が存在し、Horizontal SaaSである経営管理ソリューションには巨大な市場があることがわかります。

2.ログラス社のプロダクトと高い成長性

ここからは、ログラス社が提供するクラウドシステム『Loglass 経営管理』と、その高い成長性について詳しく説明していきます。

『Loglass 経営管理』は、従来のExcelベースの経営管理で生じていた、手作業での集計によるミスや、管理作業の属人化、といったペインにアプローチしたプロダクトです。あらゆる集計作業を自動化する事でデータ収集時間を最大85%削減するだけでなく、システム上でのバージョン管理や、細かな閲覧権限の設定など、充実した機能を提供しています。

図3.『Loglass 経営管理』の基本機能と特徴

また、収集したデータの加工・分析機能にも優れており、多段階・複雑な配賦ルールへの対応や、複数の分析軸に基づいた予実確認など、「かゆいところに手の届く」システムを実現しています。更には、財務情報やKPIなどの経営の意思決定に必要なデータをダッシュボード上で可視化して管理することも可能であり、まさに、「経営管理に寄り添ったプロダクト」です。

Angel Bridgeにおける投資検討の際には、『Loglass』を導入した複数企業へのインタビューも行いました。Excelやスプレッドシートから『Loglass』に乗り換えることで、大幅な工数の削減・属人化の解消・経営意思決定の精度向上などの効果が出ている様子を定性的に伺うことができました。また定量的にもチャーンレート・NRR・GRRなどの各種指標が非常に優秀な値であり、定性/定量の両面から顧客の満足度の高さを確認することができました。

図4.ユーザー導入事例

このような提供価値の高いプロダクトに加え、元経営企画やコンサル出身のメンバーが多く、顧客の課題解決能力に優れた質の高いカスタマーサクセスなど含めたCXの高さも評価され、結果としてMRRが急速に成長しています。

更に、先述したログラス社のメインターゲットであるエンタープライズ~ミドル企業のみならず、KDDIグループ様、アサヒグループ様、関西電力様などの日本を代表するような業界トップ企業への導入事例も増えていること、2024年の2月にローンチした新規プロダクト『Loglass 人員計画』や『Loglass サクセスパートナー』においても順調にリードが獲得できていることからも、今後のログラス社の成長に対して大きな可能性を感じております。

3. 経営陣

Angel Bridgeがログラス社に投資するにあたり、経営チームへの理解も深めました。

図5.ログラス社経営チーム

代表取締役CEOの布川さんは、慶應義塾大学経済学部を卒業し、SMBC日興証券に入社。PE、総合商社によるM&Aや投資先IPOアドバイザリー業務を担当した後、GameWith経営戦略室にて、IR・投資・経営管理などを担当されていました。事業会社の経営企画での経験から、課題を深く理解し、その解決に情熱を持たれています。複数のリファレンスインタビューからも非常に高いやり抜く力をお持ちであることに加え、組織マネジメント力の高さもお伺いすることができました。

CTOの坂本さんは、中央大学商学部を卒業し、新卒一期生としてビズリーチに入社されました。同社が急成長する中で責任者として新規SaaS事業の開発に携われるなど新規事業を中心に経験されました。その後サイバーエージェントでもエンジニアをされた後、2019年に布川さんとログラス社を共同創業されました。経営管理ドメインの特殊性を理解し、技術的負債を負わずにプロダクトの品質を最初から高く保つなど、新規事業に携わった経験を大いに活用されています。

また、ココン(現GMOサイバーセキュリティ byイエラエ株式会社)のグループCOOとして、約10社のM&AとPMIを主導された経験豊富な竹内COOや、SMBC日興証券の元トップバンカーである伊藤CFO、複数社の創業経験がある斉藤CBDOなど、優れた経営陣が揃っています。

4.おわりに

最後に、Angel Bridgeの今回の投資のポイントをまとめます。

1つ目は、巨大な市場があることです。経営管理ソリューションはHorizontal SaaSであり、巨大な市場が狙えます。その中でも、ログラス社はエンタープライズ〜ミドル企業をコアターゲットにしており、コアターゲットだけでも数千億円/年の市場が存在します。また足元でも業界超トップ企業へのプロダクト導入や、新規プロダクトのリード獲得が順調であり、今後さらに市場を広げていくことが見込めます。

2つ目は、優れた経営管理プロダクトがPMF(プロダクトマーケットフィット)していることです。ログラス社の提供する経営管理プロダクト『Loglass』のトラクションは順調に伸びており、サービス提供開始から4年足らずにも関わらず、CARR、導入企業数、チャーンレートを始めとした各種指標が良好な数字を示しています。ログラス社では「お客様の業務理解をもとにプロダクトを設計する」ことを徹底されており、「経営管理に寄り添った」プロダクトを作り続けていることが数字によって証明されていることがわかります。

3つ目は、直接の競合がいない独自のポジショニングを確立している点です。ログラス社が対象とする経営管理ソリューションの市場は、一見すると多数のプレイヤーが存在しています。しかし、エンタープライズ〜ミドル企業に対して必要十分な機能を使いやすいUI/UXで提供するポジショニングは十分に差別化されています。また一度導入されるとスイッチングが難しく、先行優位が働くプロダクトである点においても競合優位性が高いと認識しています。

最後に優秀な経営チームです。代表の布川さんは、経営管理業務への深い知見をお持ちで、CEOとしてのビジョンを体現する力、問題解決能力、やり抜く力に優れた人物です。さらに、0から1を生み出す仕事に長けた坂本CTOや、他社でもCOO経験のある竹内COO、SMBC日興証券の元トップバンカーである伊藤CFOなどの採用にも成功しており、強い経営チームを構築しています。

 

以上の観点から、ログラス社が、経営企画向けの経営管理SaaSを中心に「テクノロジーで経営をアップデート」するだけでなく、日本企業、ひいては日本経済全体の成長を支えることで、良い景気を作り出し、ログラス社がメガベンチャーとなる可能性が非常に高いと考え、投資の意思決定をしました。

Angel Bridgeは、社会への大きなインパクトを創出すべく、難解な課題に果敢に挑戦していくベンチャーを応援しています。ぜひ、事業戦略の壁打ちや資金調達のご相談など、お気軽にご連絡ください!

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