妥協なき人生(髙橋アリ)

【髙橋アリ(Angel Bridge アソシエイト)】

2023.09.08

投資先のビジネスを全力で支えるAngel Bridgeのメンバーたち。彼らは何を求めてここに集っているのでしょうか。今回は米系投資銀行を経て、2023年5月にAngel Bridgeのメンバーとなった髙橋アリ(たかはしあり)が、入社の経緯や現在の仕事内容、仕事のやりがい、ベンチャーキャピタリストとしての目標などについてお話します。
髙橋アリ アソシエイト
  • 2021年、トロント大学 Financial Economicsを卒業後、BofA証券(旧メリルリンチ)に入社。約2年間投資銀行部門にて再生エネルギー、自動車、テクノロジー業界のM&Aや資金調達案件の投資銀行業務に携わる。2023年5月Angel Bridgeに入社。

幼少期からドバイで暮らし、カナダ留学を経て投資銀行へ

髙橋さんの仕事内容を教えてください。どんなスケジュールで動いていますか?

仕事の割合でいうと、新規案件の目利きとソーシング活動に6~7割、既存の投資先への支援に1割、社内イベントやマーケティング活動に残りの2~3割を費やしています。1日のスケジュールとしては、朝9時に出社、国内外のスタートアップ動向をチェックした後に、投資先候補の方々との面談や検討案件の目利き、既存の投資先定例会への参加、社内マーケティング作業などを経て、退社するのは18時過ぎになることが多いです。その日にVC業界の交流会や飲み会があれば退社後に参加しますが、特にない日はジムやサウナにいって1日を終えます。

実は日本より海外に住んだ期間が長いようですね?

埼玉県で生まれて、小学校に上がるタイミングで親の仕事の都合でドバイに移住しました。小学校から高校卒業までの12年間をドバイで過ごした後に、カナダのトロント大学に留学しました。カナダには約5年間住んでいたので、日本より圧倒的に長い期間を海外で過ごしていますね(笑)。

投資銀行に入った背景を聞かせてください。

トロント大学に入学して最初の1年は数学と統計学のダブルメジャーを選考していました。しかし卒業後のキャリアがなかなかイメージできず、入学2年目に数学と経済学の要素が揃っていたFinancial Economicsに進路を変更しました。当時学内で実施されていた金融関係のセミナーに参加したところ、ハードワークである一方、若手のうちからM&Aや資金調達などの重要案件に携われる投資銀行の存在を知りました。自分を鍛えるにはもってこいの環境だと思い、サマーインターンでお世話になったBofA証券に入社しました。

BofA証券ではどんな案件にかかわっていたましたか?

入社1年目はいわゆる営業部隊であるカバレッジチームに配属され、再生エネルギー、自動車、テクノロジー業界を対象としたM&Aや資金調達の提案資料の作成や、案件執行のサポートに従事していました。2年目からは実際に案件を執行するM&Aチームの一員として、企業評価を算出するバリュエーション業務などに携わる機会が多かったです。

投資銀行出身者は、どんなセカンドキャリアを選ぶことが多いですか?

プライベートエクイティファンド(PE)やヘッジファンド(HF)など、金融業界におけるバイサイドに転職する人が一番多い印象です。その次に事業会社やスタートアップへ転職する方が多いイメージです。今まではベンチャーキャピタル(VC)に転職する人はあまり多くなかった印象ですが、最近はベンチャーキャピタルに転職する人が増えているように感じます。私が前職からAngel Bridgeに転職した年に、同期を含め数名の方々がベンチャーキャピタルに転職したと聞いています。

髙橋さんはどうしてベンチャーキャピタルに惹かれたのでしょう?

一番のきっかけは前職の同期のひとりがベンチャーキャピタルに転職を決めたことになります。その前まではベンチャーキャピタル業界について詳しくなかったので、積極的に話を聞いて勉強しました。創業間もないスタートアップの将来性を見抜き、リスクをとって投資した企業がメガベンチャーに育っていく姿を間近で見れたら面白いだろうなと。そのダイナミックさや社会的意義の大きさに惹かれました。大企業を相手にすることが大半の投資銀行ではそういった経験はできないと思い、転職を決めました。

信頼関係の構築なくして投資はできない

ベンチャーキャピタルといっても、規模や個性はいろいろです。なぜAngel Bridgeを選んだのですか?

Angel Bridgeの存在を知ったのはヘッドハンターからの紹介です。一度、情報交換しませんかといわれお会いしたのがパートナーの河西でした。話した際に凄く優秀だと思いましたし、何より人柄のよさが際立っていました。その後もパートナーである林を筆頭に、メンバーの皆さんとお目にかかる機会を作っていただき、Angel Bridgeのカルチャーに対して強いフィット感を感じました。皆さんプロフェッショナルファーム出身者で、仕事の進め方やカルチャーに馴染みがありましたし、少数精鋭で個人の裁量が大きいのも魅力的でした。Angel Bridgeはまだ少人数なこともあり、これから組織を大きくしていく段階なので、自社の組織作りにも関与できるのは貴重な経験だと思い、入社を決めました。

入社後、具体的にはどんな仕事に携わっていますか?

シニアアソシエイトの八尾とペアを組んで、既存投資先の支援や新規投資検討案件を通じて、ディールの全体の流れ、投資先の支援方法、検討案件の目利きの方法などについて幅広く学ばせてもらっています。私が自分でソーシング、目利きを行い投資まで至った案件はまだないので、はやく独り立ちできるようになりたいですね。

入社から3ヶ月(取材時)。率直な感想を聞かせてください。

前職とベンチャーキャピタルの一番の違いは、人と話す機会が非常に多いことですね。優れた起業家や有望なベンチャーと出会うには、ピッチイベントに出かけたり、人を介して紹介していただいたりとプロアクティブな行動が欠かせません。私は以前から人と話すのが好きなので、その点はまったく苦になりません。もうひとつ違いを感じるのは仕事のスパンですね。投資銀行時代はM&Aや資金調達(エクイティ、デット)など数ヶ月単位の仕事が多かったので、比較的短期間で案件がクロージングまで至ります。それに比べてベンチャー投資は息の長い仕事です。シード案件だとプロダクトも未完成、売上もゼロの状態から、ビジネスをつくり経営者が自走できるまで伴走します、フェーズやマイルストーンはあっても明確なゴールはありません。同じ金融の世界でも、見ている景色も、大事にしているものもまったく違う印象です。

投資銀行での経験が、いまの仕事に活きていると感じることはありますか?

複数案件を同時にこなしながら限られた期間内にアウトプットを仕上げること、また、開示されている財務数値から対象企業の分析をしてきた経験はとても役立っています。ただその一方で、起業家と一緒に事業戦略を検討したり、定性的な情報を見ただけで起業家やビジネスのポテンシャルを見極めたりする部分については投資銀行で経験してこなかった業務なのでまだまだです。経営や事業に対する解像度はまだそこまで高くないので、引き続き色んな案件を経験して、自分のスキルアップを目指そうと思っています。

いつかメガベンチャーの創出に携わりたい

Angel Bridgeの魅力は?

Angel Bridgeは、社員同士の仲が非常によく、社内イベントを開いて盛り上がることもしばしばです。バーベキューやゴルフ、フットサル、スカッシュなど、投資先を招いたイベントを通じて親睦を深めており、チームワークや団結力は非常に高いです。公私にわたる付き合いを通じて信頼関係を醸成できるのは、前職にはなかった魅力だと思います。Angel Bridgeのメンバーは、それぞれが別の強みをもつプロフェッショナルでありながら、互いに支え合う仲間でもあります。
私が入社した直後にチーム全体で歓迎会を主催してくれたり、誕生日をサプライズで祝ってくれたりもしたので、非常にチームを大事にしてくれているのもAngel Bridgeの魅力です。

髙橋さんにとって、ふたりのパートナーはどんな存在ですか?

人柄、仕事の両面でも尊敬できるロールモデルです。河西は事業の精査や分析に長けており、特にバイオ分野に強いです。面倒見もとても良く、チーム全員が成長できるようにコミットしてくれています。林はあらゆる業界に通じているだけでなく、人間的な魅力に溢れています。厚い人望があり、林が主催する会には業種問わず色々な方々が集まります。お二人とも気さくで話しやすく、自然と人が集まる魅力的な先輩方です。知見や経験、人脈の広さに加え、リーダーシップや面倒見のよさ、チームワークを尊ぶ姿勢——そのどれをとっても学ぶことばかりです。

どんな人と働きたいですか?

好奇心が旺盛でコミュニケーション力が高い人ですね。好機は向こうからやってくるわけではありませんし、どんなに優秀であっても相手から信頼されなければ投資は実現しません。ベンチャーキャピタルは色々な起業家、他ベンチャーキャピタリストなどと話す機会が非常に多いので、そういったコミュニケーションを楽しめる人が向いている職業だと思います。

今後の目標を聞かせてください。

まずは、自分でソーシングした案件を社内で通し、投資実行まで持っていくことが当面の目標です。投資実行後に、自分がかかわったベンチャーの成長に貢献できればと思っています。究極の目標は、自分の英語力や海外人脈を活かし、海外の機関投資家をLPとして巻き込んだり、必要に応じて投資先を海外事業会社や海外VCと繋げたりして、世界に誇るメガベンチャーの創出を実現すること。少し先の話になると思いますが、いつか実現させたいですね。

最後に髙橋さんが大事にしている信念を教えてください。

人生一度きりです。何事に対しても妥協せずやりきることを信念にしています。それをひと言で表すなら「妥協なき人生」になります。
カナダ留学中に、ニューヨークで投資銀行で働きたいと考えた時期がありました。あるとき現役のバンカーに相談しようと思い立ち、LinkedInでピックアップしたバンカーたちに自己紹介とプレゼン資料をメールで送ったことがあります。最終的に300人以上にメールを送り、返事がいただけたのは15人で、実際にニューヨークでお会いできたのは5人でした。結果的にはビザの関係で日本での就職を選びましたが、とても有益なアドバイスをいただけました。これまでにやったことがないことであっても、妥協せずやり抜けば価値あるものが得られる。それを知れただけでもやってよかったと思います。これからも妥協せず貪欲に挑戦し続けるつもりです。

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Angel Bridgeは、日々投資先のビジョンを叶えるため、起業家と伴走しています。そのAngel Bridgeメンバーの想いを、ここではみなさんにお届けします。