Siiibo証券

Angel Bridge投資の舞台裏#6(Siiibo証券株式会社)

個人向け資産運用サービスに「私募社債」という新たな選択肢。
独自のプラットフォームを提供するSiiibo証券へ投資した理由。

2022.04.09

Siiibo証券は社債に特化した唯一のネット証券会社です。企業情報の閲覧から社債の購入・管理まですべてオンラインで完結するプラットフォーム「Siiibo」を運営しています。
社債は決まった期間で一定の利息が入る金融商品で、企業が投資家から直接資金調達するための手段です。従来社債の発行には高いハードルがあり、実際に活用できる企業は限られていましたが、Siiibo証券は私募の仕組みを利用することでそのハードルを下げ、未上場企業を含む多くの企業が社債を発行できる環境を作り上げています。
では、Angel BridgeがSiiibo証券に投資する前にどのような検討を行ったかについてご紹介します。

サービス概要

まずSiiibo証券のサービス内容をご紹介します。
Siiibo証券は社債に特化したネット証券会社として、オンラインで簡単に社債を発行・購入できるプラットフォーム「Siiibo」を運営しています。「Siiibo」では発行企業と投資家の間に立ち、IR情報のやり取り、募集、入金、社債発行などを行うサービスを提供中です。 サービス概要 特にSiiibo証券が扱う社債は「少人数私募社債」というもので、広く一般に募集する公募債と異なり、募集先が50人未満に限られます。一方で発行企業、投資家の双方に様々なメリットをもたらします。 サービス概要

発行企業側の主なメリットとして以下の2点があります。

①短期間、低コストでの資金調達が可能
通常の公募社債の発行には格付機関による投資適格の格付けが一般に求められるほか、煩雑なドキュメンテーションが求められます。上場企業で管理部門が整った組織でない限り、現実的には社債を発行することは極めて困難でした。期間としても通常3-4か月程度の準備期間を要します。それに対してSiiibo証券では、私募の仕組みを活用することによって財務諸表の監査意見取得等を含む、数週間~1ヶ月程度の審査を通過すると募集可能となり、格段に低いコスト・業務負担で社債を発行することが可能です。
②調達手段の多角化
これまで社債を検討できなかった未上場企業もSiiibo証券を活用することで調達の手段を多角化することができます。スタートアップがなかなか銀行から融資が引けない中、社債発行というデット性の資金調達手段を得られることの意義は非常に大きいと言えます。
投資家側の主なメリットは以下の5点です

①”社債”という一般的でシンプルな商品
社債はシンプルで透明性の高い商品であるため、ソーシャルレンディングよりも充実した情報開示によって自ら投資判断をすることができます。また未上場企業などの、リスク・リターンの観点から魅力的な案件を見つけることが可能です。
②リターンが分離課税
Siiibo証券で得たリターンはソーシャルレンディングと異なり、総合課税ではなく分離課税になります。確定申告の対象外となり、特に高所得者層からは魅力的なポイントとなっています。
③分散投資に適切
株式はキャピタルゲインを主な目的としているのに対して、社債はインカムゲイン型であるため分散投資先として適しています。ポートフォリオに組み込むことで、より柔軟にリスク・リターンの比率調整が可能です。
④投資家保護の取り組み
Siiibo証券は第一種金融商品取引業者として登録の上、私募社債を取り扱っています。そのため、分別管理や投資者保護基金の加入といった、一種業者に義務付けられる倒産隔離の仕組みが導入されており、投資家を保護する取り組みがなされています。
⑤企業を直接応援できる
自ら社債の発行企業を選び、購入することは直接的にその企業を応援することにつながります。自分が共感する事業に取り組むスタートアップを直接応援できる機会は投資家にとって魅力となります。

これらのメリットが評価され、サービスローンチ以来、実際に株式会社Wells Partners、yup株式会社、五常・アンド・カンパニー株式会社、琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社、株式会社ツクルバ、Siiibo証券株式会社といった上場企業を含む6社の社債を発行しています(2022年3月25日時点)

マーケット

次にマーケットについて説明します。
資産運用サービスは昨今注目を集めていますが、ビジネス環境が整うまでには大きな変遷がありました。

2008年maneoにより、日本で初めてとなるソーシャルレンディングが個人融資を中心として開始され、企業融資への転換を経て、一躍成長ジャンルとして注目を集めました。しかし2014年になり、融資先保護のため借り手の詳細情報を隠す匿名化が義務化されたことで、不透明な資金使途の募集が可能になり、複数の会社が行政処分を受けることになりました。

2019年に融資先の匿名化が解除され、再び借り手の詳細情報を開示できるようになったことで、ソーシャルレンディング市場には融資先・資金使途を開示することを特徴として打ち出す透明性の高いプレーヤーが誕生しました。

資産運用サービス全般についてもビジネス環境が整備され、実際に2015年に会社設立後、一気に預かり資産を拡大して2020年に上場を果たしたWealthNaviをはじめとして数々のメガベンチャーが生まれています。

Siiibo証券の詳細な情報開示と高い透明性を重視した仕組みは以上の流れを汲んでおり、ユーザーのニーズにマッチしたものだと考えています。

競合

Siiibo証券の競合についてです。

最近では人々の資産運用意欲の高まりが明確なトレンドとなり、これまでになかった個人向け資産運用サービスが数々登場しました。これらのサービスは仕組みや投資対象によって以下のような棲み分けがなされています。 競合 新たな個人向け資産運用サービスには株式投資型クラウドファンディングやソーシャルレンディング、ロボアドバイザー等があり、それぞれに多くのプレーヤーが存在しています。一方で、私募社債についてはSiiibo証券が唯一のプレーヤーとなっています。

では、私募社債を扱う上での参入障壁にはどのようなものが挙げられるでしょうか。

私たちが考えた大きな障壁は、私募社債を運用するためのプラットフォームの構築です。
私募社債を扱うためには第一種金融商品取引業者としての登録が必要ですが、これはベンチャー企業にとって大きなハードルになります。その上、煩雑な社債発行手続きを簡便にするための仕組み作りには金融規制等に対する深い理解と工数が必要であるため、大企業であっても簡単には参入できないと予想しています。

さらに今後投資家と発行企業を集めることでプラットフォームバリューが高まり、一層の参入障壁を作ることができるのではないかと考えました。

経営陣

Angel BridgeがSiiibo証券に投資するにあたり、経営する皆様への理解を深めました。 経営陣 まず代表の小村氏は東京大学大学院工学系研究科を卒業後、ドイツ証券やBlackRockで社債の取り扱いを経験。「社債というシンプルな金融商品を世に広めたい」という想いから創業されました。

周囲の方々へのインタビューからは、小村氏が枠にとらわれない独自の発想と強い信念をもって本事業に取り組んでいることが分かりました。優良な人材を巻き込む力も強く、Siiibo証券には金融・コンサルタント・エンジニアの第一線で活躍してきた極めて優秀かつ業界知見のあるメンバーが集結しています。特に小村氏と宮崎COO、松澤CTOは大学院の同じ研究室出身であり、とても結束が強いチームです。

おわりに

最後にSiiibo証券の今後の展開について私たち想定していることをお話します。

ご紹介してきた通り、Siiibo証券は少人数私募に特化したサービスを提供していますが、このビジネスにはプロ私募や自己募集などの、より市場の大きい近接領域にも拡大していくポテンシャルがあると考えています。 おわりに 少人数私募では比較的信用力の高い企業と一般投資家をマッチングするために一定の審査・営業コストが必要ですが、プロ私募や自己募集では企業の信用力等の制限が緩和されるので、それらのコストが大きく軽減されることが見込めます。

Angel Bridgeは社会に大きなインパクトをもたらすために、あえて難しいことに挑戦していくベンチャーこそ応援しがいがあると考えており、こういった領域に果敢に取り組むベンチャーを応援していきたいです事業の壁打ちや資金調達のご相談など、お気軽にご連絡ください!

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